各メーカーそれぞれに特色を出しながらも、「おいしいごはん」にこだわった機種をトップグレードに次々と投入してきているという。こうしたトレンドを受けて、最新機種ではどのような機能が注目なのか、大手国内家電メーカーにおいて最初に炊飯器を製品化・販売した東芝で話を聞いた。
「戦後の女性の社会進出やライフスタイルの変化を受け、日本の家電は“家事労働の軽減”を最大のテーマに飛躍的に進化してきました。東芝では、洗濯、掃除、炊飯という3大家事のなかでも、火加減・水加減などの技術や家庭ごとに異なる好みなどで、主婦の負担が大きかった炊飯に注目。かまどを徹底的に研究し、自動でかまど炊きごはんを実現する電気釜を目指し、1955年にスイッチ一つで誰でも美味しくごはんが炊ける、国産電機釜第1号機を発売。大ヒットとなりました」(東芝ホームテクノ・家電事業統括部・家電商品企画部・川元順子さん)。
その後も同社は、ごはんがこびりつかない「フッ素内釜搭載電気釜」(1968年)、外釜と内釜の間を従来の水を入れるものから、高温の空気に変え、保温機能も付いた「かまど炊き第1号機」(1978年)、マイコン制御の導入で炊飯に最適な火加減と予約炊きなどを可能にした「マイコン釜」(1982年)など、数々のヒット製品を世に送り出してきた。
近年では、世界初の真空吸水で芯までふっくら炊ける「真空圧力IH保温釜」(2006年)、さらにかまど炊きに近づいた「鍛造かまど丸釜」(2012年)そして、1号機の発売から60年目にあたる今年登場した最新機種「備長炭かまど本羽釜」では、これまでこだわり続けてきたかまど炊きに、さらに近づく炊き上がりを実現したという。
この“かまど炊きに近づいた”が、どう解説されるのか? と思ったところで、「突然ですが、見ていただきたいものがあります」と屋外に連れ出された。そこにあったのは、存在感を放つ大きな釜……驚く記者の目の前で、“リアルかまど炊き”がスタートする。