芸能

風間杜夫が父の思い出語る「座卓をひっくり返したことも」

 一度しかない親の死に著名人たちはどう向き合ってきたか──。NHK連続テレビ小説『マッサン』で、主人公夫妻を人情深く支えるニシン漁師の網元・森野熊虎役を演じる風間杜夫さんが、亡き母、そして父の思い出を語った。

 * * *
「トモちゃんは学芸会ではつらつとしている」

“トモちゃん”とは住田知仁(すみだともひと)というぼくの本名で、舞台の上では普段のもじもじした姿が一変する、と幼稚園で知り合いの父母に言われたらしく、おふくろは小学2年生のときにぼくを児童劇団に入れた。

 小学3年生で東映児童演劇研修所に入ると、次々と仕事が舞い込んだ。子役として連続8本の映画に出演したこともある。小学5年生の時は10か月ぐらい撮影所のある京都で暮らした。おふくろがそばにいてくれて心強かったが、ときには親父がおふくろに代わって、撮影所で仕事をするぼくに付き添ってくれた。

 親父は新東宝という映画会社で配給の仕事をしていた。娯楽の少ない時代に映画会社の配給の営業は羽振りがよかったらしく、ぼくが生まれ育ち今も暮らす、世田谷区上馬の自宅の土地も、終戦直後に親父が手に入れたものだ。

 明治生まれの気難しい親父で躾にも厳しく、食事中に肘をついたり、箸を舐めたりするとゲンコツが飛んできた。気に入らないことがあると食事中でも座卓をひっくり返したり、おふくろを叩いたりしたのも見たことがある。

 その一方で茶目っ気のある親父は、映画会社の対抗野球大会でお手製のトラ柄のパンツをはいて、大きな団扇を手に持ち足に鈴をつけ、応援を買って出ていた。

 親父はガマの油売りの口上も得意で、「サァーサァーお立ち合い、御用とお急ぎでないかたはゆっくりと聞いておいで、見ておいで~」と、家族の前で得意げに披露していた。

 酒が好きな親父で、玄関で寝込んでしまい、おふくろとぼくと姉貴で、親父を家の中に引っ張り上げたことも何度かあった。

※女性セブン2015年2月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト