だが2000年代になると、20代女性の5割以上がピアスを着用するに至る(「おしゃれ白書」)。それから15年、若者のお洒落離れが叫ばれ、ファストファッションが興隆する昨今である。ピアスは変わらず女性のお洒落に欠かせないアイテムではあるものの、かつてような記号性は失っているようだ。若者の消費行動に詳しいニッセイ基礎研究所の准主任研究員・久我尚子氏はこう分析する。
「最近の若者は、茶髪が減って黒髪が増えているように、自然体のまま楽しむことが一つのキーワードになっています。ピアスをあけなくても、イヤリングでいいんじゃない、と考えるのもそうした流れと考えられます。
また最近は、ファストファッションの旺盛で、洋服にお金をかけずにすむようになりました。若者を中心にお金を使うことに慎重な人が増えています。と同時に、ひと昔前のように、ブランドものを持つことで個性を演出する、といった価値観もなくなっています。高いものが良いもの、ブランド品が良いもの、といった観念は薄れているんですね。とはいえ、人とちょっとした差別化を図りたい、自分なりのお洒落を楽しみたいという願望は変わらないと思うんです。イヤーカフはそんな気持ちをくすぐるアイテムなのかもしれません」
折しもここ数年はショートヘアが流行中で、耳を出す女性は増えている。美しく多様な耳元に注目したい。