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バブル期の美人女子大生がアラフォーになって再び輝く痛快小説

【書評】『花の命は短くて…』越智月子/実業之日本社/1620円

【評者】内山はるか(SHIBUYA TSUTAYA)

 アラサー、アラフォーという言葉は「around30」「around40」の略で、30才前後、40才前後の人たちを指すことはご存じの通り。本作は3人のアラフォー女性の物語。お肌の曲がり角を数回曲がったと思われる43才の女性たちが、“人生、もうひと花”と踏ん張る姿がコミカルに描かれる、痛快なエンターテインメントです。

 真理恵、苑子、由美子は大学の同級生。バブル崩壊の頃、3人は大学のミスコンでミス、準ミスに選ばれます。その後、それぞれの道を歩んだ3人の人生が再び交錯、事件が起きます。

 …誰だって、若く綺麗でいたいと思うはず。アラフォー世代は老け込むには早すぎる、とってもデリケートなお年頃だと思います。気持ちとは裏腹に、引力に勝てる力は衰え、腰まわりの浮き袋のような脂肪は増えます。さまざまな体の異変に不安を覚え、嫌気がさしながらも、“自分へのご褒美”と甘いものに伸びる手を止められない。気がつけばキラキラ、ジャラジャラと光り物の手を借りてしまう。年を重ねるごとに、輝きとギラギラを履き違えてしまう!

〈三十五を過ぎたあたりから「もう」という気持ち、「まだ」という気持ちを使い分けている〉〈気持ちは昔のままなのに体は知らぬまに老いていた〉という苑子の気持ちが痛いほどわかります。身に染みるエピソードが盛り沢山で、リアルなアラフォー女性の姿がうかがえます。

 そして、彼女たちから発せられる小気味良い言葉の数々。とにかく口が達者な女たちの猛攻は、決してドロドロではなく痛快です。物語の3人のような花を咲かせられるなら、年をとるのも悪くない!

※女性セブン2015年2月19日号

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