国内

空き家化した実家が倒れて隣家に被害で損害額請求される例も

 総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、国内の空き家率は過去最悪の13.5%を記録している。最近では、放置された空き家が荒れ果て、一部が隣家に崩れ落ちそうな危険な状態になるなどトラブルも増えているという。豪雪地帯はもっと大変だ。冬は屋根の雪下ろしをしないと家が潰れることさえある。

 秋田県に実家がある東京在住の飲食店経営・Aさん(62)がいう。

「雪が多かった昨冬は、5回も雪下ろしを業者に頼みました。作業員1人あたり2万円で、3人に作業してもらうので1回6万円。ひと冬30万円には頭を抱えました」

 雪の重みで倒壊してしまう民家も珍しくない。雪下ろしを業者に頼むのは痛い出費だが、背に腹は代えられない。

 もし実家が倒壊するなどして隣家に被害を及ぼした場合、民法第717条に定められている「土地工作物責任」に基づき、修理費など損害額を請求される。

「土地工作物責任」とは、家屋など土地に設置・保存された工作物が安全性を欠いており、それによって他人に損害を与えた場合、工作物の占有者・所有者が賠償責任を負う規定だ。

 例えば降雨によって地盤が緩み石垣が崩壊して隣接する築67年の家屋(木造平屋)が全壊したケース。1998年の広島地方裁判所の判例では、石垣の全面的補修を行なっていれば崩壊を防ぐことができた可能性があったのに望ましい措置が取られなかったとして、石垣所有者の「工作物保存の瑕疵」を認めて約364万円の損害賠償が認定されている。

 倒壊事故などによって死亡者やケガ人が出た場合も、「通常有すべき安全性」を欠いていた場合には賠償を負う可能性がある。

※週刊ポスト2015年2月13日号

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