もちろん花粉症対策だけの支出とは限らないが、「患者数の増加に起因して医薬品などの消費量も増えている」と分析するのは、ニッセイ基礎研究所の井上智紀氏(生活研究部の准主任研究員)である。
「近年、医薬品をはじめ機能性を高めた対策グッズも多数販売されていますが、だからといって支出単価が上がったと見るのは早計です。
『毎年のことなので、できるだけ安く対策したい』という人は依然多いですし、花粉の量は年によって変動するため、一貫して増加しているわけではありません。むしろ一人あたりの消費量はほぼ一定であると考えたほうがいいでしょう。
にもかかわらず、人口減少が叫ばれる中にあって鼻炎薬を含む花粉症関連の4品目の支出額が2010年に比べて増加しています。これは患者数が増えていることの表れなのでしょう」
現在、花粉症患者は国民の4人に1人といわれている。「今年から症状が出始める人も多い」(都内の耳鼻科クリニック)との報告もあることから、有病率は着実に増え続けている可能性がある。
医療機関や医薬品メーカーにとっては引き続き「有望」といえる花粉症関連市場。しかし、家計にも響くほどの出費を強いられる重症患者にとっては、たまったものではない。