国内

「女の涙を武器にするなら小渕優子レベル必要」と倉田真由美

 昨年は多数の記者会見があったが、その中でも「涙」を見せた代表格が小渕優子氏と小保方晴子氏だ。二人の「涙」にはいかなる違いがあったのか。漫画家の倉田真由美氏が比較した。

 * * *
 このご時世「涙は女の武器」なんて考え方は古い。今の若いコの多くはそれで世の中を渡れるとは考えておらず、職場でそう簡単に泣かなくなっている。にもかかわらず職場で泣く女は今も存在する。

 記憶に新しいところでは、“幻のSTAP細胞”で世間を賑わせた小保方晴子さんの涙。私の周りの男性からも「あの謝罪会見での涙は美しかった」などと絶賛が相次いだ。彼女なりに必死に頑張って、それでもダメだった時にこらえきれずに流した涙。衣装や髪型、涙など、あの清楚な雰囲気のどこまでが演出だったのかは不明だが、世のオジサンの心をつかんだのは間違いない。

 しかし、あの小保方さんの“ぶりっ子”は同性からもっとも嫌われるパターンであり、女からの支持はあまり得られなかったはずだ。

 また、いくらオジサンにウケても“そこ止まり”ということに気付いて泣いている女は少ないのではないか。

 ある大手商社の人事担当者から「女同士でうまくやれる、波風を立てない女性を採用したい」という話を聞いたことがある。男の上司が管理職まで引っ張りあげたい女性は、“守ってあげたい女”ではない。仕事で本当に登りつめたいのであれば男にも女にも認められないとダメ。泣くだけで出世できるとは限らないのだ。

 成功例の典型としては、失脚前の小渕優子議員くらいだろう。あの絶妙なショートカットや無難なスーツの色など、どれをとっても男っぽすぎず、女を出しすぎない見事なバランス。完全に失脚してもおかしくなかった問題だったのに、そんな立ち居振る舞いでこらえきれずに思わず涙を流せば、自民党の長老や地元の有権者だって放っておくわけがない。

 しかも“ぶりっ子”のない姿に同性からの反感もない。ロクな禊もないままに再選を決めた彼女は、相当な”人たらし”に違いない。同じ演出でも小保方さんとは比較にならないほどスケールが違う。彼女くらいになって初めて涙は効果的な武器になる。

 今の時代に女の涙を武器にして職場でのし上がりたいのであれば、あの小渕優子レベルまで高めないとダメ。そこまで演出できない安っぽい涙なら、最初から男にすがるなと言いたい。中途半端な女の涙はうっとうしいだけ。世間はそこまで甘くないのだ。

※SAPIO2015年4月号

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン