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尾木ママが受験に疑問 「滑り止め」という言葉はおかしい

 入学試験に落ちたり、就職活動がうまくいかなかったり、入社した会社でミスを連発したり…わが子が落ち込み、悩んでいるとき、母親はいったいどんな言葉をかければいいのだろうか。「尾木ママ」の愛称でお茶の間に親しまれている教育評論家の尾木直樹さんが教えてくれた。

 * * *
 この時期になると、受験に失敗して落ち込んでいる子、とっても多いの。お母さんたちも一緒になって元気がなくなっちゃう。でもね、ぼくはそもそも日本の受験システムがおかしいと思っているんです。

 何がおかしいかっていうと、まず偏差値や内申点で学校や人をランク付けする仕組み。それで決められる進路なんて進路とはいいません。それなのに、偏差値の高い大学がいい大学という風潮があるため、そういう大学にたくさん合格者を出す高校が「進学校」とか「受験校」なんていわれている。いい学校っていうのは、「その子のよさが伸びる学校」に決まっているじゃないですか。

 もうひとつ、おかしいのは「滑り止め」という言葉です。受験では「第1志望、第2志望、滑り止め」というような言い方をしますけれど、ぼくが中学校教師をやっていたときは生徒に滑り止めという言葉は絶対に使わせなかった。ご両親にもそれはよくお願いしていました。

 だって「滑り止め」なんて、そこに進学することになったら“敗北のスタート”になってしまうじゃないですか。今大学教授をしていてたくさんの学生を見ているけれど、入学してから「本当は○○大学に行きたかった」、「この大学は滑り止めだったのに…」なんて言っている子は伸びません。

 だからね、お母さんたちはそういうことをちゃんと知ってから子供に声をかけてあげてほしい。すると、「第1志望じゃなくたって、ここはこういうよさがあるし、ここにいればこんなことができるかもね」というような会話ができるでしょ。子供の方が受験システムには詳しいんだから、なにも知らないで励ましたって「うちの親はなんにも知らないくせに」って思われちゃいます。

 ぼくなら子供が受験に失敗したとしても、「こんなの日本くらいなんだから、そんなことでビビるんじゃないわよ」って言いますね。「やる気になれば、いくらだって方法はある。インターネット上で勉強することもできるし、学校代わりの教育機関だってたくさんあるよ」ってね。

※女性セブン2015年4月2日号

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