国内

中年童貞は純粋で優しく、正義感が強いので見直すべきとの声

 安倍政権が進める「女性が輝く社会」には、諸手を挙げて賛成。でも、ちょっと、男としては息苦しい世の中になってきたなと……。『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)の著者でノンフィクションライターの中村淳彦氏が、“怒られるのを承知で”中年童貞について、意見した。

 * * *
 女の人は“普通の人”を恋愛対象に選ばない傾向がある。もてる男というのは、だいたいが口が巧く、エネルギッシュで自分に自信のあるナルシスト。どうして女性は深く考えることなく、そういう”強い種”をもっていそうな男ばかりに群がるのか。

 逆に、どんなに真面目で誠実であっても、自分に自信がなかったり、コミュニケーションに難があったり、流行からズレていたりする男を弱者として排除する。

 その結果が近年の中年童貞の増加だ。「結婚と出産に関する全国調査」(国立社会保障・人口問題研究所、2010年)で分かったのは30~34歳の未婚男性の26.1%が童貞だということ。前回は24.3%だから着々と童貞の高年齢化は進んでいる。今や未婚男性の4人に1人が童貞だ。

 この中年童貞問題、実は多くの社会問題と直結していて、事態は深刻だ。性的に自立しなければ社会的な自立(結婚)ができない。中年童貞の特徴としては「女性に対し思い込みや偏見を持ち、コンプレックスと劣等感で他者とまともに付き合えない」、または「客観性がないためプライドが高く、ミスを人のせいにし、社会や環境への不満が生涯続く」があるが、他者とコミュニケーションがとれないため仕事ができず、経済的に困窮する。

 そういう男が増え続ければ、少子化だけでなく、税収の低下、社会保障費の増大、国際的な競争力の低下まで招いてしまうのだ。

 しかし、中年童貞になってしまうタイプに共通するのは、純粋で優しく、決して目立たないが、正義感が強く、仕事は真面目でコツコツこなすこと。人を陥れて上を目指すタイプではない。生真面目さから女性に対しても潔癖で、女性からのアプローチにも軽い返事はせず、慎重に対応する。

 そんな“普通の男”を女性はもう一度見直すべきだ。女の扱いが巧く、調子がよく、パワフルな男を追いかけても、嘘をつかれ、操られて、ひどい目にあう。結局自分たちも婚期を逃すことになるのだ。

 そもそも、私が取材してきた中年童貞の多くが、成育歴を見ると、母親に必要以上に甘やかされてきたか、毒母に人格を否定されて育ってきたかのどちらかだった。

 中年童貞を生まないためにも、まずは男の選び方を考え直すことが急務だ。

※SAPIO2015年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト