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安倍政権と沖縄の対立激化 辺野古移設作業は民主主義の破砕

 安倍政権と沖縄県の対立が激化している。翁長雄志(おなが・たけし)・知事は3月23日、米軍普天間基地移設に向けた辺野古沿岸部の海底ボーリング調査で岩礁が破砕される度合いが高いとして防衛省沖縄防衛局に作業停止を指示し、従わない場合、「岩礁破砕の許可を取り消す」と安倍政権に突きつけた。

 だが菅義偉・官房長官は翌24日の会見で「県の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ。工事は粛々と続行する」と拒否。さらに沖縄防衛局は、関連法を所管する農水省に作業停止指示の取り消しを求める審査請求を出した。

 両者とも一歩も譲らぬ徹底抗戦の構えだが、この件では翁長知事に理があるだろう。

 昨年11月の知事選で、沖縄県民は移設容認だった前職・仲井眞弘多氏ではなく、移設阻止を公約に掲げた翁長氏を選んだ。翌12月の衆院選でも沖縄4選挙区で自民党は全敗。最新の沖縄の民意は明らかに「移設反対」を示している。

 にもかかわらず、安倍政権が調査を強行する根拠は、「仲井眞前知事との手続きで事前に承認を得ている」という一点に尽きる。城西国際大学の鈴木崇弘客員教授はこう指摘する。

「20年ほどかけて辺野古移設にこぎ着けた自民党の努力は民主党政権が中途半端に県外移設をぶち上げて水の泡になった。だが、今の民意の大勢が移設反対なら、安倍政権は沖縄県民の理解を得るために説明を尽くすべきです」

 前任者の承認を盾に翁長知事を批判するのであれば、安倍政権はこれまで否定してきた前政権の政策を継続しなければ筋が通らなくなってしまう。

 しかも翁長知事は就任以来7回上京しているが、安倍首相と菅長官は面会を拒絶して門前払いを続けた。それどころか前知事に約束した沖縄振興予算を削って圧力までかけた。

「時間をかけて国民を説得し、政策に織り込んでいくのが民主主義の重要なプロセス。翁長知事と会おうとせず、県民の声に耳を傾けない姿勢は“民主主義軽視”といわれても仕方がない」(鈴木氏)

 農水大臣が県の指示を無効と見なしても、知事が許可を取り消しても、最終的には結論が司法の場に委ねられる可能性が高い。そんな泥仕合を誰が見たいのか。

※週刊ポスト2015年4月10日号

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