「生身の人間がアニメやゲームのキャラを演じ、限りなく2次元的な存在に近付くことを2.5次元化と呼びます。武将隊の皆さんは勉強家の方が多く、演じる武将や時代についてとても詳しく調べ内面をしっかり演じています。パフォーマンスや交流会、SNSでの『なりきり』ぶりは素晴らしい。ゆるキャラにも歴史上の人物を名乗るキャラが存在しますが、武将隊ほどなりきったキャラは存在しません。2.5次元化の究極進化系といえるでしょう。

 一方のゆるキャラ・ご当地キャラは着ぐるみで肉体を獲得し、TwitterなどのSNSを利用してコミュニケーションをとることで2次元から2.5次元化しています。出発点は異なりますが、お互い2.5次元化しているもの同士なので武将隊と相性がよいといえます。共演が多いのもうなずけますね」(前出・犬山さん)

 武将隊は、地域全体のPR活動と同行する機会が多いため地元のご当地キャラと共演する機会が多い。また、ご当地キャラと同じような役目を担うことも多く、大坂の陣400年天下一祭のPR武将隊として昨年、結成されたばかりの「大坂RONIN5」は4月9日の成田空港第3ターミナルのオープニングイベントへ、大阪代表として熊本県のくまモンや千葉県のチーバくんなどの着ぐるみキャラに交じって登場した。

「大坂RONIN5」は、もっとも最近結成された武将隊のひとつ。これまでは武将が現代によみがって活動しているケースばかりだったが、RONIN5の場合は大坂の陣で活躍した真田幸村らが現代に転生しているのが他と異なる。さらに戦隊ヒーローのようにイメージカラーがはっきりしているので「色で区別できるから、戦国時代がわからない小さなお子さんにも親しみやすいようです」(明石掃部役の永井礼佳さん)。

 武将として新人の彼らは、イベントなどで出会う他地域の武将たちからの歓迎ぶりに驚いたという。

「信州上田おもてなし武将隊や伊達武将隊の皆さんとは、真田幸村どうしの交流をさせてもらいました。グレート家康公葵武将隊の皆さんからは『ずっと会いたかったんですよ』と熱烈なあいさつをいただいて驚きました。武将隊としては僕らは一番の若手なので、何かと気にかけていただいているようです。大坂の陣で考えると敵味方の関係なんですけどね(笑)」(真田幸村役の井上拓哉さん)

 前出の犬山さんによれば、ゆるキャラ・ご当地キャラどうしが仲良く交流する様子をファンは求めており、SNSなどで触れ合う写真が公開されると喜んでシェアするという。事情は武将でも同じようで「FacebookやTwitterで他の武将隊の人たちと撮った写真を載せると、反響が大きい」(後藤又兵衛役の吉本考志さん)という。

 ゆるキャラ・ご当地キャラは日本の文化として定着しつつある。より熱狂的なファンが多いと言われるPR武将隊も、同じように2.5次元化したことでクール・ジャパンのひとつとして定着するのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン