国内

イルカ大量死は大地震の予兆か 事例多く偶然の一致といえず

茨城県鉾田市で発生した「イルカの大量死」

 南海トラフ地震、首都直下型地震発生の可能性が指摘されるなか、4月10日に茨城県鉾田市で発生した「イルカの大量死」は、天変地異の前触れなのではないかと囁かれている。「イルカの大量死=大地震の予兆」説が信憑性を持ってくる大きな理由は、世界各地で地震の発生前に「大量死」が発生した事例が報告されているからだ。

 例えば、2011年2月20日に発生したニュージーランド・クライストチャーチ大地震。マグニチュード6.1を記録し、死者185人、うち日本人28人が犠牲になった大災害だ。

 実は、その発生2日前に同国南部・スチュワート島の浜辺にゴンドウクジラ107頭が打ち上げられていた(クジラとイルカは同じ動物で、体の大きいものがクジラ、小さいものがイルカと分類される)。

 2014年に発生したマグニチュード8.2、死者6人のチリ・イキケ大地震でも、発生の3か月前に隣国ペルー各地の海岸で400頭以上のイルカの死骸が発見されていた。

 国内では、2001年以降に10頭以上の鯨類が集団で座礁した事例は今回を除くと9件記録されている。そのうち7件で、3か月以内に震度5を超える地震が起きていた。

 2001年3月10日、鹿児島県にカズハゴンドウ171頭が集団座礁した際は、2週間後の3月24日に広島県で芸予地震(震度6弱、死者2人)が発生した。

 また、千葉県で2006年1月23日にカズハゴンドウ26頭が、2月28日にも67頭が打ち上げられた。その後の4月21日に伊豆半島東方沖地震(震度4)が起きている。これほど事例が多いと単なる偶然の一致ともいえなくなる。

 日本では毎年平均で200頭のイルカ座礁が起きており、座礁自体は珍しくない。また、打ち上げられた場所と地震発生場所の距離が1000km以上離れているケースもある。しかし9件の大量座礁後に大地震が7件発生している事実は無視できない。

 ちなみに1995年の阪神・淡路大震災の前には、鯨類が座礁したという事例は報告されていない。だが、震災4日前に三重県の南島町沖に設置した定置網で深海魚「リュウグウノツカイ」が捕獲されていた。

 このリュウグウノツカイは2004年8月に発生したマグニチュード7.4の紀伊半島南東沖地震の約2か月前にも同じく三重県で捕獲されている。

 リュウグウノツカイは水深200m以上の海底に生息するタチウオに似た深海魚で、海底に何らかの異変が生じると浅瀬に移動するとされる。古くから人間の前に姿を見せると地震が発生すると言い伝えられており、「地震の使い」とも呼ばれてきた。

撮影■渡辺利博

※週刊ポスト2015年5月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン