「文の衣装を見てください。井上真央さんが最も気に入っていた衣装です。これが展示の目玉のひとつです」
思わず「はぁ、そうですか」といいかけたが、目を輝かせる“ガイド”に失礼かと思い直して、大きくうなずいて感心しているフリをした。続く「美術の世界」コーナーには、小道具や台本が展示されている。まるでNHKの倉庫を見せられているようだ。
ベンチが多数並べられた上映時間約10分の「花燃ゆ映像シアター」には、先ほどの老婦人たちが座っているだけ。映像の途中だったが、2人は席を立って先へ行ってしまった。他の目玉をチェック……と期待して記者も歩を進めてみたが、最後に幕末志士が集った英雲荘のジオラマがあるだけで展示は終了。滞在時間はわずか10分だった。
職員によると、この日(火曜)は「同じ建物内にある図書館と地域協働支援センターが休みなので来場者が少ない。土日はもう少し多いです」と“魔の火曜日”を強調していたが、裏を返せばドラマ館目当てで来館する人はいないということになる。防府市産業振興部も苦戦していることを認める。
「4月13日時点で入場者は1万6500人です。目標は30万人ですからちょっと厳しい数字であることは間違いありません」(おもてなし観光課「花燃ゆ」推進室)
※週刊ポスト2015年5月1日号