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焼肉業界に異変 郊外に強いチェーンが都心で酒場化する背景

都心初出店の「熟成焼肉 肉源」(物語コーポレーション)

 このゴールデンウィーク、家族揃って「焼肉」を食べに行く予定の人も多いだろう。外食ジャンルで不動の人気を誇るごちそうだが、ここ数年、焼肉専門チェーンではちょっとした異変が起きている。

 4月17日、東京・赤坂(港区)にオープンした「熟成焼肉 肉源」は、〈ラグジュアリーなのにカジュアルな空間で、焼肉とワインとの新しい関係をリーズナブルに提案する〉とのコンセプトを打ち出した。

 同店では、上質なアメリカンビーフをチルドの状態で40日間ウェットエイジングさせた流行りの熟成肉が安価(熟成カルビ780円など)で食べられるのが魅力だが、それ以上に目を引くのが、酒類の豊富さだ。

 特にワインは店内入口に設置された“ウォークインワインセラー”に常時数十種類が並べられ、1480円の飲み放題プランをオーダーすると、なんとすべてのワインが1本980円で堪能できるという。

 じつは肉源を運営しているのは、郊外型のロードサイト店「一番かるび」や「焼肉きんぐ」を中心に、全国で140店舗出す物語コーポレーション(本社/愛知県豊橋市)だ。焼肉チェーンでは「牛角」(レインズインターナショナル)に次ぐ2位の規模で、既存店の売上高は右肩上がりを続けている。

 そんな同社が都心の繁華街に初出店となる新業態を敢えてオープンさせたのはなぜか。物語コーポレーションの加治幸夫社長は、「同じ看板や客層で長年やっていると、どうしても業態の陳腐化が起こってくる。常に消費の流れを見失わないようにするための挑戦でもある」と話す。

 確かに焼肉店のトレンドは変化の兆しが見えている。日本外食新聞編集長の川端隆氏がいう。

「郊外型の焼肉チェーンは予算に応じたテーブルオーダーバイキングが人気で、細かいニーズは汲み取っていますが、どうしても焼肉は季節感やメニューの変化を打ち出すのが難しい業態なだけに、他チェーンとの差別化が図りにくい。

 そこで、首都圏を中心に勢力を伸ばしているのが、飲みの需要にも応えた“焼肉酒場”です。従来の焼肉店は肉を食べるのがメインで、アルコールのメニューは保守的でした。それが『大阪焼肉 ホルモンふたご』(中目黒店など)のような業態が出てきてから、半分肉を食べ、半分飲みに行くといったスタイルが目立ってきました」

 ふたごのドリンクメニューを見ると、コラーゲン入りのサワーや乳酸菌カクテル、高級シャンパンまである。また、平城苑が銀座で展開する「焼肉バルHEIJOUEN」では、産地直送の樽生ワインをはじめ、ウォッカやテキーラ、ジンなど、あらゆる酒メニューが揃っている。

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