だが、焼肉店がここまで酒場化している背景には、苦しい業界事情もある。
「本当はTボーンなど骨付きの面白い部位などを出せばヒットすると思うのですが、輸入牛肉が高騰しているうえ、それにつられて国産牛の値段も上がっているため、なかなか肉で思い切ったことができない状況です。そこで酒の種類を多くして客単価を上げ、いわばリスク分散をしようという狙いもあるのでしょう」(前出・川端氏)
かつてBSE問題やユッケの食中毒事件など幾多の逆風も受けてきた専門業態だけに、ファミリーレストランのような拡大一辺倒の戦略は取りにくいのだろう。だが、個人消費の回復や高級ステーキ人気を見る限り、プレミアム業態の開発を含めた焼肉チェーンの“伸び代”は、まだ十分にありそうだ。