ビジネス

ドンキ創業者 日銭を稼いで生活した若き日の無頼生活を語る

ドンキホーテの会長兼CEO・安田隆夫氏

 ドンキホーテHD代表取締役会長兼CEO・安田隆夫氏が65歳にして引退を発表した。関連会社も含め全ての取締役を後進に委ねるという。「安売りの帝王」と呼ばれ、小売業を掻き回し続けた安田隆夫とは一体どんな人物なのか? 安田氏と交流のあるジャーナリスト・藤吉雅春氏が迫る。

 * * *
 安田の原点を見ようと、岐阜県大垣市で取材を行った。駅前の公衆電話で電話帳を片っ端からめくり、一年前に行われた彼の父親の葬儀場を探した。葬儀場がわかれば、実家の場所がわかると思い、そうしてたどり着いたのが小さな安田の生家だった。軒下に、古新聞とともに安部公房全集など文学全集が紐で結わえてあったと記憶している。

 地元の同級生たちに聞いて回ると、「ガキ大将」の逸話は多く聞いたが、一方で休み時間には一人で静かに読書をする読書家でもあった。

 呼び鈴を鳴らすと、母親が玄関に現れたので、取材をしている旨を伝え、話は自然と安田の少年時代になった。安田が中学生の時、母親が呆気にとられたことがあるという。何の本の影響なのか、こう言ったのだ。

「俺は波瀾万丈の生き方をしたい」

 工業高校の電気科で教鞭をとる父親は、その話を聞き、こう呟いたそうだ。

「俺は石橋を叩いても考え込むタイプなのに、あいつは崩れかけた石橋でも渡ってしまう」

 安田は、地方では満たされない思いを上京して実現しようとした。慶應大学法学部に入学するも、シティボーイの多い環境になじめずすぐにドロップアウトした。鬱屈はたまっていくばかりだった。安田は今、こう言う。

「10代の頃、自分が社会に適合していないという劣等感がありました。しかしその一方で、自分は他の人たちとは違うんだという、自我への誇りみたいなものもあった。ただ、みんなとの違いとは何なのか。それがわからなかったから、言葉にできなかったんです」

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト