映画の舞台は淡路島 (C)2015 映画『種まく旅人 くにうみの郷』製作委員会
栗山:舞台では勝村政信さんかな。私が舞台に出たのはまだ3回ですが、蜷川さんの舞台で2回ご一緒しています。勝村さんはみんなの兄貴的な存在でもあるんですが、話しかけやすいんです。芝居で迷ったときに「どうですか」と尋ねると、「こういうふうにやっても面白いね、こうやってもいいよね」とヒントを与えてくださいます。舞台は稽古でずっと一緒だから、特にそうかもしれませんが、共演者をちゃんと見てくださっている。先輩方は本当に温かいですね。
――30才は転機になりましたか。なにか変わったことは?
栗山:変わると思ったんですが、案外変わらなかったというのが正直なところです(笑い)。二十歳のころは30才は大人だと思っていましたし、自然と大人になっていくものだと思っていました。でも、自然には変わらないんだとわかりました。自分で意識していかないと変わらないんですよね。
――変わりたいと思っていることはあるんですか?
栗山:私はいつまで経っても自分が年下だと思っているところがあります。でも、年齢的にはそうではないので、現場ではしっかりしないといけない、と思いますね。自分より年下の役者さんやスタッフさんと一緒にお仕事をして、楽しいと思ってくれるような存在ではありたいんです。私は末っ子で、従兄弟の中でも一番下。5才の頃からモデルの仕事を始めたので、現場でご一緒するのはずっと年上の方ばかりでした。それに慣れ過ぎているので、逆に、年下の人と一緒になると「なにかしてあげなくては」と変に力んじゃうところがあるんです。
でも、自分だったらと思うと、ふつうにしていることが楽じゃないかなと。私も先輩方がふつうに接してくれたり、「飲もうよ」と誘ってくれたりしたことがうれしかったですし。飲みに誘うまではいかなくても、後輩たちにラフに接することによって楽しんでもらえるのではないかな。そう考えると、楽しいムードを自分から作れるような大人になりたいと思っています。
――30才になって結婚観や恋愛観の変化はありましたか?
栗山:変わらないですねぇ。でもひとつ言うと、忙しいからかもしれませんが、一人の時間作りたいと思うんですよ。現場に行けば大勢の方と一緒に仕事をしているので一人になる時間はありません。家に帰っても母と住んでいるので一人の時間はつくらないとまったくない。せかせかした日常のなかで、自分のために自分だけを思って過ごす時間を大事にしています。だから、一人で食事に行くこともあります。そう考えると余計、結婚とか恋愛は当分なさそうですね。
――最近は芸能界でママになるタレントさんが増えていますし、周りでも多いのでは?
栗山:確かに高校や中学時代の同級生だとママになっている友人はいます。でも、私の周りの同業者はそんなにいないので、焦りも感じません。それよりも、今はまず自分の時間を大切にしたいですね。
【栗山千明】
1984年10月10日生まれ。モデルを経て1999年に『死国』で本格的に女優デビュー。2000年『バトル・ロワイアル』、2003年『キル・ビルVol.1』と話題作に出演。2004年『下弦の月〜ラスト・クォーター』で初主演。2007年は映画『エクステ』、連続ドラマ『ハゲタカ』、『特急田中3号』に出演。2010年OVA作品『機動戦士ガンダムUC』の主題歌である『流星のナミダ』で歌手デビュー。2011年主演ドラマ『秘密諜報員エリカ』、『塚原ト伝』、NHK連続テレビ小説『カーネション』の3本が同時期に放映。2012年ドラマ『ATARU』、2013年映画『劇場版SPEC』シリーズ、『図書館戦争』、今年10月には『図書館戦争 THE LAST MISSION』が公開予定。多方面で活躍中。
【映画『種まく旅人 くにうみの郷』】
淡路島を舞台に、人と自然の再生を描いた感動作。アメリカ帰りの農水省官僚の神野恵子は、日本の第一次産業の現状を調べるために淡路島へ向かう。たまねぎ農家の豊原岳志と、海苔の養殖を行う豊島渉の兄弟をはじめ、島の人々と交流するうちに、次第に恵子に変化が…。
監督:篠原哲雄 出演:栗山千明、桐谷健太、三浦貴大、豊原功補ほか。5月30日から全国公開
撮影■浅野剛 メイク■HIROTAKA(LYDIA PRO) スタイリスト■ume