国内

東京に拠点のある指定暴力団トップが相次ぎ逮捕 その容疑は

 暴力団の源流をさかのぼると、賭博を生業とする博徒と、縁日などの露天で「売(ばい)」を行なうテキヤに大別される。

 この6月に入って警察は関東最大のテキヤ組織で指定暴力団「極東会」(本部・東京都豊島区)の松山眞一会長(87)と、博徒系の指定暴力団「住吉会」(本部・東京都港区)の関功会長(69)を相次いで逮捕した。

 当局の把握している情報によると、極東会の構成員は約800人で、首都圏を中心に15都道県に勢力を拡げている。住吉会は構成員、準構成員数合わせて約8500人。日本最大の指定暴力団「山口組」(本部・兵庫県神戸市、約2万3400人)に次ぐ規模を持つ巨大組織だ。

 両トップの逮捕は暴力団の完全排除を狙う警察当局の「新・頂上作戦(※注)」の象徴で、暴力団社会に衝撃を与えた。

【※注/警察が暴力団組織の中枢幹部をターゲットに取り締まりをすることを頂上作戦と呼ぶ。1964年から第一次頂上作戦、1970年から第二次頂上作戦、1975年から第三次頂上作戦が実施され、多くの有力団体が解散した。2010年の山清司・山口組若頭の逮捕は「平成の頂上作戦」とも呼ばれた】

 極東会元幹部がいう。

「松山会長は、関東のテキヤ組織をまとめあげた伝説的な親分です。そんな大親分を他人名義の銀行口座を作っただけで逮捕した。

 かつての警察ならば、大物にはそれなりの接し方をすることで組織関係者が関わった事件の解決に利用することもあったが、今はそれも必要ないということ。むしろトップを狙い撃ちすることで、組織をガタガタにするつもりでしょう」

 松山会長はテキヤ組織の大規模な親睦団体「関東神農同志会」を立ち上げたことで、暴力団の世界では広く名の知られた人物だ。

 1980年代まではテキヤ同士の縄張り争いが絶えず、博徒系ヤクザとの抗争も日常茶飯事だった。1983年、松山会長が理事長を務めていた「極東関口会」(現・極東会)と「住吉連合会」(現・住吉会)が「池袋抗争」を起こした。

 そのとき松山会長は、住吉連合会側が「関東二十日会」という親睦組織を持つことで博徒系組織の間の抗争の抑制や調整をしているのを見て、テキヤ組織にも親睦組織が必要だと痛感したという。

 それから松山会長が奔走し、翌1984年、テキヤ系の69組織が大同団結して「関東神農同志会」(松山会長)が発足する。関東神農同志会と関東二十日会は定期的に会合を持つようになり、友好を深めた。

 それ以降、関東の暴力団の重鎮として知られるようになった松山会長が、さる6月2日、警視庁組織犯罪対策4課に逮捕された。都内の大手銀行支店で、実際は松山会長が利用するのに長女名義で口座を開設し、通帳とキャッシュカードを騙し取った詐欺の容疑だ。

 2011年10月に全国施行された暴排条例は暴力団構成員による銀行口座の開設や不動産の売買・賃貸を禁じた。「財布」と「住所」を取り上げられた彼らが、やむなく親族や知人の名義で口座を作ったり、部屋を借りたりすると詐欺罪が成立する。警視庁はそれを適用し、縄をかけたのだ。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン