国内

酒鬼薔薇 1冊目はノンフィクション、次は小説と出版社に提案

 日本中を震撼させた神戸連続児童殺傷事件(1997年)の犯人「少年A」の手記『絶歌』(太田出版)が6月11日に刊行された。翌日、被害者遺族は「重大な二次被害を受ける」と出版社に抗議し、本の回収を申し入れ、一部の書店では販売を自粛する動きも出た。

 2012年冬、Aは大手出版社・幻冬舎の見城徹・社長に宛てて自筆の手紙を出した。関係者が話す。

「手紙には社長へのラブコールとともに“自分の本を出したい”との強い思いが綴られていたそうです。社長は、過去に殺人犯の手記を編集した経験のある編集者ら数人のチームを立ち上げた。2013年にはAが会社を訪れ、社長らと直接打ち合わせもしています。そのなかで、Aから“1冊目はノンフィクションがいいが、次は小説を書くことも考えている”という提案があったようです」

 当の見城氏は『週刊文春』のインタビューでこう語っている。

〈(Aは)「とにかく書きたい。書かずにはいられない」という感じだった。それで、彼にはまず「匿名で小説を書かないか」と伝えた(中略)彼も一時期は乗り気になって、小説のペンネームを考えてきた〉

 ところが、手記の出版には社内外から異論が出るようになったという。

「編集に携わった社員も“あまりに自己愛が強くて、文章は自己陶酔が激しい。悔悟の気持ちがどれほどあるのかわからない”という印象を抱くようになったといいます。また、手記の発表は幻冬舎と付き合いのある小説家らからの反発も予想されました」(同前)

 見城氏が語ったところによると、最終的に幻冬舎は出版を断念し、見城氏は旧知の太田出版の社長をAに引き合わせ、今回の出版に至ったとされる。

※週刊ポスト2015年7月3日号

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト