国際情報

落合信彦氏 アメリカが南沙諸島問題で本気になった理由解説

 中国が、フィリピンとの領土問題が存在する南沙諸島で滑走路を建設し始めたが、これについてアメリカが神経を尖らせている。その背景には何があるのか、落合信彦氏が解説する。

 * * *
 中国は極めて「危険なゲーム」を始めたようだ。

 南沙諸島(スプラトリー・アイランド)の珊瑚礁を次々に埋め立てて、3000m級の滑走路を建設している。

 中国外相の王毅は、会談したアメリカのケリー国務長官に対し、「国際法と歴史に鑑みて、南シナ海は中国のものだ」と堂々と言い放った。私なら「じゃあハーグ国際裁判所の法廷に行きましょう」と言うところだが、いずれにせよこの発言はアメリカに対する重大な挑発行為である。

 弱腰のオバマ政権でもさすがにこれは看過できず、アメリカの対応は非常にシビアなものになっている。ただちに海軍が南沙諸島埋め立ての空撮写真を公開し、国防総省は軍の派遣を検討しているとの報道も出ている。

 中国はこれまで、経済的に中国依存が深まるフィリピンやベトナムが反撃しづらいのをいいことに、南沙諸島の埋め立てを急ピッチに進めてきた。

 だが、アメリカはこれを許すわけにはいかない。南沙諸島が中国に取られれば、中国の空母がフィリピンなど他国の領海にさえぎられることなく、太平洋にダイレクトに出られるようになってしまう。これは現在アメリカが安全保障の重心をアジア・太平洋に置くと定めた「リバランス」を大きく揺るがすことになる。だからこそ、アメリカはここに来て南沙諸島問題に本気になったのだ。

 実はこの5月18日、米原子力空母「ジョージ・ワシントン」が横須賀を出港している。ジョージ・ワシントンは西太平洋で2~3か月パトロールした後、カリフォルニア州サンディエゴの基地で、同じ原子力空母艦「ロナルド・レーガン」と交代する予定という。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン