国内

安保法案に反対する学者たちが「ケンカを買った」 その余波

 この怒りはどこに向かうのだろうか。安倍政権の安保法案に約5000人(6月18日現在)の学者が「反対」の声をあげた。

 物言わぬ学者たちに火をつけたのは、自民党で安保法案取りまとめにあたった高村正彦・副総裁のひと言だ。

「学者のいう通りにしたら平和が保たれたか」

 高村氏は安保法案に「憲法違反」と表明した憲法学者たちをそう批判した。すると、「このケンカ、買うしかない」と同法に反対する学者たちが立ち上がったのである。 

「憲法学者が憲法の字面に拘泥するのは当たり前。それをやめろというなら、学問に対するめちゃくちゃな干渉だ」(山口二郎・法政大学教授)

「違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と強がっていた政権側も、さすがに多勢に無勢と見て「違憲か合憲かは学者ではなく最高裁が決める」と言い出した。

 市民も動く。14日には2万5000人が国会を囲み、若者の「右傾化」がいわれる中で渋谷では学生ら3500人がデモ行進し、列島各地で数千人規模の抗議行動が起きた。

 さらにこの批判のうねりは、ニュースで香港のデモを報じながら渋谷の学生デモを黙殺したNHKや、〈高村正彦副総裁が「憲法学者の言うことを無批判にうのみにする政治家」を批判しているのは、理解できる〉と社説で書いた読売新聞など、政権に迎合するばかりで国民に真実を伝えない大メディアに向かう勢いである。彼らはだから、これを報じない。

※週刊ポスト2015年7月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン