投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月29日~7月3日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、30日に救援プログラムの期限を迎えるギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念から、弱含みに推移すると予想される。ギリシャの債務協議が合意に達した場合は、米国6月の雇用統計と6月の日銀短観を見極める展開となり、両者の内容が予想通りだった場合はドル買い、予想に反して悪化していた場合はドル売りとなる。
【ギリシャ救援プログラム】(30日)
30日は、ギリシャ救援プログラムと国際通貨基金(IMF)への債務返済の期限となる。本稿執筆時点ではまだ明らかになっていないが、27日(土曜日)の緊急ユーロ圏財務相会合で、ギリシャの改革案の承認、債務削減、救援プログラムの延長などが承認された場合、ギリシャはデフォルト(債務不履行)を回避できる可能性が高まることで、リスク回避後退の円売り要因となる。
しかし、ギリシャへの支援打ち切りが決定された場合、ギリシャのデフォルト懸念、ユーロ圏からの離脱懸念が高まることで、ドル・円は、120円割れの可能性が高まることになる。
【日銀短観】(1日)
6月調査の日銀短観は、大企業・製造業DIが+12で3月調査の+12と変わらず、大企業・非製造業DIが+22で3月調査の+19からの改善が見込まれている。予想通りならば、東京株式市場の続伸が予想されることで、円売り要因となるが、予想を下回った場合、高値警戒感から東京株式市場が売られ、ドル・円も上げ渋る展開が予想される。
【米国6月雇用統計】(2日)
米国の6月の雇用統計の予想は、失業率が5.4%で5月の5.5%から低下、非農業部門雇用者数は、前月比+22.7万人で、5月の+28.0万人から増加幅の減少が見込まれている。米国6月の雇用統計が予想通りならば、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ開始観測が強まることで、ドル・円は強含みに推移することが見込まれる。
予想を大きく下回った場合、インフレ率が前年比+1.2%で低迷していることで、利上げ開始の条件である物価情勢と雇用情勢での「合理的な確信」が生じないことで、利上げ開始時期が12月以降に後退する可能性が高まることで、ドル売りが優勢となる展開が予想される。
6月29日-7月3日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。