国内

セクハラ被害ウグイス嬢 加害者のため一日中笑顔続ける苦痛

 東京都の市民団体「女性と人権全国ネットワーク」が「ウグイス嬢たちのセクハラ・パワハラレスキュー」と名づけた相談窓口を、今年4月に行なわれた統一地方選挙を機に開設した。共同代表の佐藤香氏がいう。

「4月から5月の半ばまでの1か月半に31件の深刻な事例が寄せられました。そのうちの4割が4月の統一地方選での被害で、6割がそれ以前のものでした」

 セクハラの加害者といえば候補者がまず頭に浮かぶが、それだけではない。

「運動員・選対事務局員が全体の42%で最多です。続いて候補者が26%、後援会・支持者が19%です」(佐藤氏)

 絶対数の多い運動員が加害者となるケースは事件になりにくいという。

〈運動員の男性に「カンチョウ」された。冗談ぽくやるので周囲の人もそれを見て笑っているが、ウグイスをしているときはスカートだし、すごく嫌だ〉

〈選挙カー内で下半身を触られた。怖くなって途中で降ろしてもらい、その日はタクシーで帰った〉

〈「帰ったら彼氏とチョメチョメするんだろ」などと卑猥な冗談を言われた〉

 セクハラ加害者のうち後援会・支持者は19%と少数派だが、被害はより深刻だ。特徴は、その日の選挙運動を終えた夜の接待の強要である。

〈レストランに行くと地元の支持者と思われる男性たちがおり、そのままお酌をさせられた。やっと食事が終わってホテルに戻ろうとすると、その男性の一人がホテルの部屋に押し入ろうとしてきた。やっとの思いで断わったが、「ウグイス嬢は夜も接待するものだろう」と言われた〉

〈選挙後の打ち上げで、たくさんの人がいる前で胸を鷲掴みにされた。お座敷では股の中に手を入れられた〉

 そしてウグイス嬢という仕事が彼女たちの苦しみを増幅させる。

「被害女性たちはいくら辛い目に遭っても、加害者である候補者やスタッフのために、一日中笑顔で声を出し続けなければならない。その苦痛たるや、並大抵のものではありません」(佐藤氏)

※週刊ポスト2015年7月10日号

関連キーワード

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン