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鬼嫁の短冊 「夫が健康でありますように ※ただし定年まで」

 夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのはカード会社勤務のご主人(53歳)。奥様(52歳)は周囲から「ご主人をたてる良妻」と思われているようです。2人にまつわる七夕エピソードを紹介しましょう。

 * * *
 あるアンケートによると「七夕の願いごとランキング」は1位「健康のこと」、2位「お金のこと」、3位「仕事・学業のこと」、4位「恋愛や結婚のこと」、5位「生活のこと」だそうです。

 近所の商店街では、皆の書いた短冊を店の壁に張り出していて、我が家も毎年書いています。妻は「私、恥ずかしいから、アナタの書いた紙の裏に書くわ。内容? アナタが書いたのと同じようなことよ」。それを聞いた店の主人は「夫唱婦随のいい奥様ですねぇ」。

 でも、僕の書いた紙を裏返すと……「家族が健康でありますように」の裏には、妻の「夫が健康でありますように※ただし定年まで」。「昇進しますように」の裏は「昇進して支社に単身赴任しますように」。こんなの他人に見せられません。

 今年は僕が「夫婦円満」と書くと「夫と添い遂げられますように」。「たまにはいいこと書くじゃないか」と妻にいうと「書き忘れた!」「『※ただし定年まで』か?」「惜しい!『※ただし新しい夫と』よ」。皆さん、良妻の正体は鬼嫁です!

※週刊ポスト2015年7月17・24日号

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