――現在のような閉塞状況に陥った原因は何なのか。

中村:ソフト・オン・デマンドの高橋がなり氏の影響が大きい。ビデオ倫理協会という既得権益を破壊して、規制緩和し、公平な競争によってユーザーのメリットを、というネオリベラリズム(新自由主義)的な発想を徹底的に実行して、本当に凄まじい競争社会になってしまった。既得権益を破壊するとはメリットばかりに聞こえるが、結果論としてAV業界で起こったことは、強烈な売上至上主義と終わりのない商品のクオリティーアップ、デフレです。

 無駄をする余裕がなくなって、合理化によって業界は縮小し、女優をはじめとする関係者の労働量は激増した。そして、ほぼ全員が生活や人生に直撃する深刻な収入源に見舞われた。今思えば、ユーザーのためと価格を強引に2980円、1980円に下げたのは打撃が大きかった。

 もう一つは世の中のデジタル化です。デジタル化によって簡単にコピーができて、簡単にサイトで共有できるようになった。ネットには著作権無視の映像が山ほど溢れている。しかも、タダ。コンテンツを買わなくなるのは当然です。現在のAVはイベントで熱心なファンに複数本同じ作品を買わせるAKB的なビジネスモデルが支えている。新作が一瞬にして中古市場に流れて、さらに新作が売れなくなるという悪循環に陥っている。

――AVというビジネスに未来はあるのか。

中村:一部の中年男性とオタクのみを対象にしている現状のままだと、厳しい。生き残るにはお金を払ってくれる客を開拓するしかない。日本のAV女優が異常なほど人気を博している中国など、海外市場でどうやって新しいビジネスモデルを構築できるか、もしくはここ数年取り組んでいる女性向けAVが花開くかどうか、にかかっている。

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