『江戸を斬る』第四シリーズからは同心役で関口宏がレギュラー出演、飄々とした芝居で物語を盛り上げていた。

「関口さんの芝居は好きでしたね。飾らなくて、気取らなくて、大袈裟にしなくて、そのまんまの自分の地でやっている感じで。ただ、番組の途中くらいから『TBSでクイズ番組の司会をやるんだ』って。それが『クイズ100人に聞きました』でした。
 
 僕は『それもいいけどさ、あなたは役者なんだから、ちゃんと帰ってこなきゃ駄目だよ』と言ったんです。ところが彼は『効率が違うんだよ。雨が降っても風が吹いても、スタジオの中だから時間通りにやれるんだ。二本撮りするのに、ドラマは何日かかる。短くても一週間だよ。効率が悪いんだ』とニコッとしながら言う。それで喧嘩したこともありました」

『江戸を斬る』には毎回を通しての悪役が登場、第二シリーズは金田龍之介、第三シリーズは成田三樹夫がこれを演じた。

「金田さんは気さくな方でした。普通に芝居していたのにカットがかかると途端に『今度、ご飯行こうよ』って。成田さんはクールで口を利かない方でした。冗談も言わず、ジッと座って。その姿がカッコいいんですよ。

 お二人とも色っぽかった。昔の俳優さんって、ワルほど色っぽいんです。いい男、綺麗な男がワルをやっていました。ワルなんだけど、生まれつきのワルには見えない。ですから、ファンもいっぱい付いていました」

■春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(ともに文藝春秋刊)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社刊)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。

※週刊ポスト2015年8月14日号

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