ビジネス

逆風ユニクロには「フリース越え」が必要 コスパ維持も課題

ユニクロは再び成長軌道に乗れるか

 アパレル業界で右肩上がりの好業績を支えに“独り勝ち”を続けてきた「ユニクロ」(ファーストリテイリング)だが、一転して逆風にさらされている。

 今年6、7月と2か月連続で国内既存店売上高が前年同月比でマイナスに沈んだことから、〈異変〉〈苦境〉〈黄信号〉との報道も目立つようになった。9月2日に発表される8月の実績いかんでは、今後の成長性にさらなる疑問符がつきかねない状況といえる。

『ユニクロ 世界一をつかむ経営』などの著書がある流通コンサルタントの月泉博氏に、ユニクロが直面している3つの課題と打開策を聞いた。

 まずはブランドの根幹に関わる品揃え(MD)についてだ。これまでユニクロはフリースをはじめ、機能性肌着の「ヒートテック」や「エアリズム」、軽量で撥水性にも優れた「ウルトラライトダウン」などのヒット商品を次々と生み出してきたが、その成功パターンが途絶えかけていると、月泉氏は指摘する。

「最近でもTシャツやステテコなどラインアップの拡充や改良を重ねながらMDの精度を上げていることは評価できますが、どれも小ヒット止まり。爆発的人気を誇るフリースに替わるような“ホームラン商品”が出ていないのが、客数が伸びない要因だと思います」(月泉氏)

 フリースを最初に発売したのは今から20年以上前の1994年。累計3億枚の販売数を超えるほどのロングセラー商品はそう容易く出せるものではないだろう。しかし、「7~10年サイクルでブームを巻き起こすぐらいの商品が欲しい」(月泉氏)。

 次に価格の問題だ。ユニクロは昨年、円安による原材料高を理由に定番のジーンズなどの値上げに踏み切った。

「ユニクロのジーパンは安くて生地も丈夫だったから何本も愛用してきたが、値上げ後は税込みで5000円以上する商品も。この値段ならリーバイスやエドウィンなどジーンズブランドのアウトレット品を買ったほうがいい」(40代男性)

 ユニクロの代名詞ともいえる〈低価格ながら高品質〉が失われかけていることに、消費者は敏感に反応している。今年の秋以降も値上げ方針を表明しているうえに、フランスの著名デザイナーと組んで1万円以上のニット商品を販売する予定など、脱低価格路線が顕著になり出している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン