ライフ

胃カメラ検診の利点 バリウムと異なりゲップ我慢や下剤不要

 日本人の「がん」の中で最も多いのが胃がんだ。地方自治体が行なう胃がん検診に「バリウム検査」より確実に高い発見率を誇る「内視鏡(胃カメラ)」による検査が選択肢に加わる見通しだ。胃カメラの検診にはどんなメリットがあるのか。

 胃カメラによる検査もバリウム検査同様、前日から食事制限の必要はあるが、検査に要する時間は5~10分程度で済む。発泡剤や不味いバリウムを飲んでゲップを我慢したり、検査台に乗ってグルグル回転させられたり、バリウム排泄のために下剤を飲んだりする必要もなくなる。

 横須賀中央内科クリニックの松岡幹雄医師(日本消化器内視鏡学会指導医)は内視鏡検査で35年のキャリアを持つ。同クリニックで初めて経鼻内視鏡の検査を受けた48歳男性に話を聞いた。

「前に口から胃カメラを飲んだ時は拷問だなと思いましたけど、鼻からだと全然違いますね。途中で『オエッ!』となる感じも全くなかったです」

 同じく初めてだという60代男性もこう語る。

「内視鏡を入れる時、鼻の奥の方にちょっとだけ違和感がありました。先生に聞いたら、普通の人よりも(鼻の奥が)狭かったみたいです。ただ、その前に麻酔をかけてもらっているのもあってか、痛みは全然ありませんでしたよ。

 検査中は画面を見ながら先生が説明してくれるので、不安も感じませんでした。(検査の結果)悪いものは何もなかったみたいなのでよかったです」

 あるベテラン内視鏡医は、「過去に口から胃カメラを飲んで、その時の吐き気や苦痛がトラウマとなって『内視鏡検診は二度と受診しない』と決め込む人が多い」と残念がるが、最新技術によって状況は大きく変わっているのだ。

 さらに、胃がん検診で内視鏡(胃カメラ)検査も推奨することを提言した厚労省の検討会では検査手法以外の変更も提言された。

 各自治体の胃がん検診の対象年齢は従来の「40歳以上」から「50歳以上」に引き上げられ、検査を受ける間隔も「年に1回」から「2年に1回」で済むようになる。一度受けた検査の結果問題がなければ、その後2~3年は大丈夫と考えられる研究結果が蓄積されてきたからだ。この変更により、検査のために日程などを調整するわずらわしさも半減することになる。

※週刊ポスト2015年9月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン