そう朝日、毎日、東京の派手な報道ぶりを批判したうえで、さらに〈安保関連法案に自分の考えで賛成している国民は、全く眼中にないようだ。デモに参加しないという圧倒的多数派の沈黙の意思表示は、朝日にとっては民意に値しないのだろう〉と書いた。
朝日がデモ参加者の声が世論の大勢であるかのように強調した紙面づくりをしている面は否定できない。しかし、「デモに参加しないという圧倒的多数派の沈黙の意思表示」が法案賛成であると考えている阿比留氏の主張もおかしい。
当の産経とFNN合同の世論調査(8月15~16日)によると、安保法案の今国会成立に反対が「56.4%」で、賛成の「34.3%」を大きく上回っているからである。産経の世論調査を信用するなら、デモに参加していなくても法案の今国会成立に反対の意思表示をしている人の方が圧倒的多数派になるのではないか。
ちなみに、産経は日本の国会デモを報じた同じ日の紙面(国際)で、マレーシアでの反首相派のデモ(参加者は主催者発表20万人、現地の警察発表2万5000人)の記事を6段ぶち抜きで大きく報じていた。
どうして日本国内とマレーシアの反政府デモの報道がそれほど違うのだろうか。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号