日本人の日常生活にも影響することが考えられる。人民元切り下げで輸出促進を図ろうとしている中国政府の号令を受けて、繰り返し問題になったように、安全・安心よりコストの安さを優先した「安かろう、悪かろう」の製品で、日本に輸出攻勢をかけようとする中国企業が出てくる可能性が高い。その結果、再び有害物の入った中国食品などによって日本人の「安全」が脅かされる恐れがある。

 最悪のケースでいえば、バブル崩壊やデフレ不況の深刻化で疲弊した中国国民が、打開策を打てない共産党政権に怒って、政権打倒を掲げた中国全土に及ぶ大規模な暴動を起こすことも全くないとはいえない。そうなれば、中国経済も大混乱となるのは必至で、多くの工場の操業も止まる可能性がある。

 その結果、中国企業の製品はもちろん、中国で製造する日本企業の製品までが日本から消え去ることも否定できないだろう。日本国内の企業にとっては、ある意味でビジネスチャンスだ。何しろ、日本国内の需要(市場)は消えないが、中国からの供給が止まるのである。もっとも、その場合は中国から「難民」という最悪の商品がなだれ込んでくる可能性が高い。

 嫌でも日本と中国とは経済活動でつながっている。中国経済が「風邪」ならぬインフルエンザにかかろうとしているときに、日本だけが無傷ではいられない。

※SAPIO2015年10月号

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