――社内外、松村社長に協力を惜しまないという人は多いと思いますが、人から信頼を得る秘訣とは?
松村:初めからそういうわけではないですから。相手に頼まれたことを一生懸命やりますよ。普通はみんな損得勘定を考えますが、僕はそんなの全く考えないです。ケチって言われるのが一番嫌なので、お金はケチらず思いきり払います。
大事なのは、嘘をつかないことです。そして、1回の失敗で10重ねてきたものが全て崩れる可能性はあるので、そこは気をつけないと。とにかく大切なのは『GNO』なんですよ。義理、人情、恩返し。これは幻冬舎の見城さんに教えていただいた言葉ですけど。特に今はSNSが流行ってメール、LINE…そういうものが全盛ですから、余計に人間的なところが一番大事。礼儀・礼節が本当に大切です。立場は上でも、偉そうにしない。もちろん相手が悪いことをしたり、間違えたことをしていたら、叱らなくてはいけないですけど。
――以前の経営者には一匹狼的な印象がありましたが、ライバル視せず横の繋がりがあるのは意外でした。
松村:外食で働く人の地位向上を目指したい。そのために協力してやっていこうという共通の思いがあるからライバルにならないんですよね。ただ、僕は生まれ変わったら飲食はやらないです(笑い)。できればITをやりたい。ピーマン食べられないし、ネギ食べられないし、食べ物も嫌いなものばっかりなんです(笑い)。
【松村厚久(まつむら・あつひさ)】
1967年3月29日生まれ。高知県出身。日本大学理工学部を卒業後、サービス業を極める目的で日拓エンタープライズに入社。95年に退社し独立。日焼けサロンチェーンを展開し、成功を収める。2001年に飲食業界に参入。「外食アワード2007」受賞。2010年、100店舗100業態を達成。飲食業界のタブーに挑み、食とエンタメの融合を成功させ、「フード業界のファンタジスタ」と呼ばれる。2015年、東証第一部上場。
撮影■疋田千里