ビジネス

前ツカサグループ代表 SB孫正義氏との勉強会での邂逅を述懐

「天国と地獄」を見た川又三智彦・前ツカサグループ代表

「♪よん・よん・まる・まる・わん・わん・わん。ツカサ~のウィークリーマンションっ♪」

 バブル全盛期の1980年代後半、軽快なリズムに乗ったフレーズで話題になったテレビCMがあった。「思いつきで作ったCMなんですが話題になっちゃって」と苦笑いするのは、川又三智彦・前ツカサグループ代表だ。

 1990年頃には都内に4000室ものウィークリーマンションを抱え、米経済誌『フォーブス』で世界の富豪として取り上げられたこともある。

「さまざまな理由で短期間だけ住みたいという入居者は多いのに、その受け皿がなかった。当時はイケイケで、銀行からお金を借りて次々とマンションを購入した。逆に銀行から“この物件を買ってください”と借金とセットで話が回ってくる(笑い)。不動産の所有数が増え、資産は3000億円を超えました」

 当時、敏腕経営者として名を馳せた川又氏は、著名経営者でないと参加できない勉強会のメンバーに入っていた。そこでよく議論をしていたのが、現ソフトバンク社長の孫正義だった。
 
「当時はまだ僕のほうがビッグネームでしたよ。今は全然相手にしてくれないでしょうがね(笑い)。

 覚えているのは勉強会で僕が、“これからはお金を借りてマンションを買えば、何もしないでも値段が上がる。借金してでも不動産を買え”という話をした。すると孫さんは、“不動産を株に替えても同じだ”と力説し始めた。彼は今それを現実にしているからすごい。僕はというと……1990年代前半以降は借金地獄に陥った」

 バブル崩壊後は地価下落が進み、資産は10分の1にまで落ち込んだ。1999年、ウィークリーマンションの経営権を米投資会社・リーマン・ブラザーズに譲渡。その後、リーマンが破綻するなど紆余曲折があり2009年に会社を清算。自身も830億円の負債を抱えて自己破産した。

 まさに天国から地獄。だが本人の表情は清々しい。

「大きなお金を動かし続けている人は、毎日大きなプレッシャーと戦っている。僕はお金も友達も失ったけど、今のほうが幸せです。長者番付に何年も載り続ける人の精神力はすごいと思う」

 現在は福島県に生活拠点を移し、昭和30年代の町並みで町おこしを行なう「会津昭和30年代村企画株式会社」を設立。

「住居は会社の倉庫。自分でブルドーザーも運転します。どれだけ働いても、もう長者番付に載ることはないだろうけど、楽しいですよ」

撮影■ヤナガワゴーッ!

※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン