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落選運動 制約少ないが選挙期間中はSNSで実名の使用が必要

 安保法制が成立したが、国会前のデモなどで安保法制に反対してきた人々からは法案に賛成した議員に対して落選運動(特定候補に投票しないよう呼びかけること)を起こそうという声が上がり注目を集めている。落選運動は、2000年の韓国の総選挙で市民団体が、2012年のアメリカ大統領予備選で「ティーパーティ」と呼ばれる団体が実績を残している。

 日本でカギを握るのは、デモに参加した人たちの行動が、デモに参加していない国民にどこまで広がるかだろう。

 選挙・政治制度論が専門の湯浅墾道(はるみち)・情報セキュリティ大学院大学教授は、「本格的な落選運動に発展する可能性は高い」と見ている。

「過去の日本で落選運動はライバル候補による足の引っ張り合いのケースが多く、一般の有権者は賛同できなかった。

 けれども今回は憲法9条の解釈という国の基本政策が争点になっている。あれだけの反対デモが起きたということは、国民の中に憲法解釈変更に強く反対するまとまった勢力がある。法案に賛成した候補者を落選させようという組織的な運動が起きればデモ参加者以外でも呼応する有権者は相当出てくるのではないか」

 日本の選挙制度は「選挙運動より、落選運動の方が制限が少ない」という事情も運動に拍車をかけそうだ。

「2013年に解禁されたネット選挙では、個人がメールで特定候補への投票を頼む行為は原則禁止されている。しかし、特定候補を落選させようというメールを送るのは選挙活動にはならないからOKです。

 ホームページやSNSでも落選運動はできる。ただし、選挙期間中に落選運動をする人は匿名ではなく氏名とメルアドを明記しなければならないから、Twitterなどでは実名をハンドルネームにしておく必要があります。

 また、選挙権のない18歳未満は公選法で選挙運動を禁じられていますが、落選運動であれば行なうことが可能です」(湯浅教授)

※週刊ポスト2015年10月9日号

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