ライフ

世界一の本の街・神保町 高額古書は目録や展示即売会で販売

神保町の東京古書会館で開かれる市の様子

 ショーウィンドウに豪華な絵巻を飾る店、文学全集が山積みされる店、安価な本で溢れるワゴンが軒先に置かれる店……。東京・神田神保町には靖国通り沿いを中心に現在160ほどの古書店が軒を連ねる。

 神保町古書店街の歴史は明治時代初頭まで遡る。武家屋敷跡に東京大学や明治大学、中央大学などの前身となる学校が建てられ、それに伴い書店が増えていったのだ。今では創業100年を超える店もあり、神保町は数、質ともに「世界一の本の街」といわれる。

「海外にもオークションはありますが、同業者同士が取り引きする古書市場は日本にしかなく、毎日市を開いているのは神保町だけ。日本中から本が集まります。昨年にはある書店で哲学者ヘーゲル自筆の書き入れ初版本が見つかり、驚きの声が上がりました」と、神田古書店連盟の会長を務める佐古田亮介氏(けやき書店)は語る。

 古書店は市場のほか、個人からも買い入れる。収集家の遺族からトラック数台分を引き取ることもあれば、時には地方にも出向く。

 どの店も棚に本がびっしりと並ぶが、実は稀少で高額な品は店頭に出されず、目録や展示即売会で販売されることが多い。2013年には中国なら国宝級だという南宋時代の漢詩集が4億6000万円で目録販売された。一体誰が購入するのかと驚くが、国内外の大学や博物館なども古書街のお客様。近年は中国からの業者も足繁く通う。

 10月23日からは「神田古本まつり」が10日間開催。23~25日には東京古書会館で古今東西の稀覯本・珍本を集めた「特選古書即売展」も開かれるので、この機会に神保町で「お宝本」の世界を覗いてみてはいかがだろう。

写真■東京古書組合

※週刊ポスト2015年10月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン