もっとも、対応する番組が少なければ4Kテレビも必要ないと思えるが、前出の安蔵氏は「いま4Kテレビを買って損はない」という。
「現在売られている4Kテレビのほとんどは、フルハイビジョン映像を4K画質並みにアップコンバート(変換)する“超解像技術”に優れていますし、シャープが7月に発売した『アクオス4Kネクスト』は仮想的ではありますが、8Kの解像度まで実現させています。
今後、一般家庭向けの“リアル8Kテレビ”が出てきたとしても、60インチクラスで100万円はくだらないでしょうし、8Kの良さが活かせる80インチ以上の大きさとなれば、価格以上に一般家庭のリビングに置くのは難しいでしょう。
そう考えると、2020年までにテレビの買い替えを考えている人は、価格も手ごろになってきた4Kテレビで十分にハイビジョンとは違うキレイさが味わえると思います。4K対応のブルーレイレコーダーがようやく登場したので、視聴方法も少しずつ広がっていますしね」
確かに、冒頭で記したシャープの8Kパネル(85インチ)の価格が1600万円もすることを考えると、国の思惑とは裏腹に本格的な「8K時代」がいかに遠い世界かがうかがえる。
無料放送を少しでも高画質で楽しみたい人は、当分の間“なんちゃって4K”でもその実力は侮れない。いま、4Kテレビを購入しても、7~10年といわれる次の買い替えタイミングまで後悔しないほど受像機の技術力は先行している――というのが専門家や家電メーカーの共通した見方である。あとは、コンテンツがどこまで追いついてくるかだ。