番組内のエコー画像で青白い光の筋として映し出されていたのは、まさにこの筋膜がこり固まった部分だった。

 そこで登場するのが、番組でも紹介されていた「生理食塩水」だ。筋膜の癒着部分にピンポイントで生理食塩水を注入することで、こり固まっている部位に水分が浸透し、癒着が解放される。

 すると、痛みもすっかり改善するという。エコー画像の青白く光る筋が消えたのは、筋膜の癒着がはがれ、しわが伸びたことを意味していた。しかも生理食塩水は人間の体の成分に近いため、副作用の心配もまずないのだという。神経の近くでも施術でき、血圧低下等の合併症もほとんどないそうだ。

 肩こり以外にも効果的だ。首回りや腰、上腕や大腿部など、癒着した筋膜にトリガーポイント(痛みの発生箇所)が存在する症状では、生理食塩水の注射で多くが改善するのだという。

 筋肉に負荷をかけ続けた結果、筋膜が癒着してしまったアスリートに対しても、この生理食塩水の注射でパフォーマンスの向上が見られたというデータもある。

 また、マッサージでは正確な患部を漠然としか把握できないが、エコーを使うことでこっている筋膜の部位がはっきりと可視化できるのも、この治療法の画期的な点だ。エコーと注射、そして筋膜の発見。これら全てが合わさって初めて日の目を見た治療法だった。

「筋膜の研究は40年ほど前から盛んに行われてきましたが、肩こりとの関係で科学的に注目されてきたのは10年ほど前からです。これまでは肩がこったら筋肉をほぐせばいいという考え方でしたが、筋膜をリリースすることが重要だったのです。

 筋膜は、“医学界のシンデレラストーリー”と呼ばれ、今では“医学界のスーパースター”へとその地位を引き上げたのです」(前出・竹井教授)

 もちろん、筋膜への注射治療によって肩こりが治っても、同じように肩に負担のかかる姿勢を続けていれば、いずれは再発する。

※女性セブン2015年10月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン