国内

人気の学校は倍率7.5倍 公立中高一貫校の利点とデメリット

学費も安く、人気がある公立中高一貫校

安倍晋三首相が打ち出した新3本の矢の1本として「夢をつむぐ子育て支援」が発表された。出産・育児支援などが表明されているが、果たして今後子育てがしやすい環境になっていくのだろうか。悩みの種となるのは、子どもを育てるにあたってのお金や環境だ。

首都圏では5人に1人の子どもが中学受験をするという。10月から11月にかけては、入学案内が配布される時期。各学校にどんな魅力があるのか、子どもを持つ親としては気になるところだろう。中でも、近年注目度が上がっているのが公立の中高一貫校だ。 
 
 首都圏の東京都立白鴎高等学校・附属中学校は合格倍率7.5倍、地方都市に位置する宮城県仙台二華中学校・高等学校でも6.3倍にまで跳ね上がっている。東京都の男子御三家(麻布・開成・武蔵)でも倍率は3倍ほど。その人気がいかに高いかがわかるだろう。

 これについて、書籍『公立中高一貫校選び 後悔しないための20のチェックポイント』を上梓し、これまで約500人の教師に話を聞いた学校教育に詳しいライターの佐藤智氏が解説する。

「公立中高一貫校は1999年に新しく登場した学校制度です。高校受験がなく6年間一貫の教育を実施しますが、公立なので学費は一般の中学・高校と変わりません。調査データによるとこれまで中学受験を考えてこなかった世帯収入の家庭でも公立中高一貫校を受けています。

さらに、『ゆとり教育』の揺り戻しで、学校において教える内容が増加したため、3年間よりも6年間の学校の方が大学入試に対応しやすいという背景があります。懐に優しい上に、大学進学実績も伸ばしている。そうした理由により注目度が上がっているのではないでしょうか」(佐藤氏、以下「」内同)

 しかし、こうした公立中高一貫校人気にも懸念があるという。

「私立学校は学校存続のために生徒募集の広報活動が必須ですから、『どういう学校なのか』ということを広くPRしています。しかし、新しい学校制度だということもあり公立中高一貫の各校がどういう学校なのかという点が、外側からはなかなか見えません。そのため、校内の実情がよくわからないまま受験させていることも少なくないのです。重要なのは、学校を見る目を養うこと。実際に学校に足を運んで、お子さんの性格や将来展望と学校のズレがないかをチェックしていくことだと思います」

 中高一貫校に入学したものの、運悪くミスマッチが起きてしまうと、思春期の6年間を子どもが辛い日々を過ごすことになる。6年間は長い。不登校やひきこもりなどになることもあるだろう。

転ばぬ先の杖ではないが、学校選択の時点でこうしたリスクを最小限にしておきたいと思うのが、親心ではないだろうか。そうはいっても、学校をどうチェックしてよいかわからないという声も聞く。どんなポイントを確認したらいいのだろうか。

「ホームページなどで校訓や教育方針といったものを最初に確認すべきです。これを大本にして、実際の学校の指導を行っているので、特徴そのものといえるからです。他にも、6年間で広がったトップ層とボトム層の学力格差をどうフォローしているかという点や、6年間の長い期間だからこそ『たるむ』気持ちをどう底上げしているかなど、中高一貫校だからこそ確認すべきポイントがあります。子どもたちが6年間できちんと力を伸ばしていけるよう、確認事項をふまえて志望校を選んでいくとよいでしょう」

 今後も公立中高一貫校をはじめ多様な学校が登場するだろう。志望校を固める前に、よりつぶさに学校の特徴を把握していく必要も高まっていくのかもしれない。

関連記事

トピックス

ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン