もちろん、トヨタのHV技術も一層進化させているため、当面、他メーカーに猛追される心配は少なくなったはず。新型プリウスは燃費向上につながる小型・軽量化や内部抵抗を抑えた、いわば“新世代HVシステム”へと基本構造を一新させている。
さらに、新しくエンジンやプラットフォーム(車台)、トランスミッションといったクルマの基本構造をさまざまな車種にも共通化させる「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」なる手法を導入する。つまり、プリウスの優れたHV性能を他の車種にも素早く“移植”できるというわけだ。
だが、「ホンダもこのまま黙っていないだろう」と話すのは、前出の井元氏だ。
「今年、ホンダは『フィットハイブリッド』で度重なるリコールを出してしまったため、新車開発に遅れが出ているのかもしれませんが、HVシステムの基礎技術力は高く、底力のあるメーカーです。
すでに新型プリウスをも凌ぐ燃費効率や低価格を実現させるべく、新型HVの開発に着手しているとの情報もあります。それが本当なら、2~3年後に“隠し玉”を出してくる可能性は十分にあります」(井元氏)
トヨタは10月下旬に開催される「東京モーターショー2015」で新型プリウスを大々的に披露し、国内のみならず世界で販売強化を図っていく予定だ。
独VW(フォルクスワーゲン)のディーゼル車不正問題でますますトヨタのHVに注目が集まるのは必至だが、その裏ではホンダだけでなく、日産やスズキなど国内のライバルメーカーが虎視眈眈と巻き返しを狙っている。