辰巳:当時は、女性が学問をしちゃいけない時代だったわけですよね。そんななか、子供のころから数字が好きで、そろばんに興味を持って、経営に積極的に関わっていこうとした初めての女性ですよね。
今だったら、男女雇用機会均等法から始まって、大きな企業でも管理職の一定割合を女性にするとか、そういったことが当たり前になってますが、あさはその走りだった。時代の最先端を行っていたってことで、ものすごい感覚を持っていた人だと思います。
『花子とアン』のモデルとなった村岡花子さんや婦人運動家の市川房枝さんも広岡浅子さんの弟子にあたるんですよね。あとは、日本初の女子大学「日本女子大学」を創設した成瀬仁蔵さんも、広岡さんと交流があったみたいですね。広岡さんの働きかけがあって三井財閥から目白の土地を譲り受けて、それで日本女子大学が創設されたそうです。
──広岡さんの精神が現在も受け継がれていると感じることはありますか?
辰巳:自分の力で道を切り開いて行こうとする女性はたくさんいると思いますし、周りでもどんどん増えていますね。でも、日本はいまだに男社会で、能力があってもなかなか頭角を現せない女性が多いのも事実だと思います。特に大きな企業のなかでは難しそうなイメージですね。でも、やっぱり女性のほうが優秀だと思うんですよ。もしかしたらほとんどの男性がそう思っているかもしれない。女性が優秀だからこそ、男性は負けたくないという気持ちがあって、なかなか男社会が崩れないというか。
──NHKの朝ドラでいうと、6作品目の出演となりますよね。
辰巳:朝ドラはなんだか故郷みたいなものですね。NHK東京収録の朝ドラでデビューしたというのもありますし。ただ、本数もたくさんあるし、スケジュール的にはかなりハードですよ(笑い)。
でも、若手ディレクターの登竜門というイメージでもあるんですよ。ディレクターは週ごとに、チーフディレクターとかセカンドとか、何人かで回すんだけど、時々若いディレクターさんがいて、ここで監督デビューということもあるんですね。単純に数をたくさんこなそうとすると流れ作業になりがちなんだけど、若手ディレクターを入れたりして、実験的なことをやっているのは面白いですよ。役者さんがどんどん成長していくのも楽しいですしね。本当にヒロインの女優さんは、どんどん変わっていきますから。
──ちなみに、辰巳さんは空き時間に何をされていますか?
辰巳:併行していろいろな仕事をしているので、原稿書いたり、次の仕事のチェックしたり、電話連絡したりっていう感じですね。だから、掘っ建て小屋に集まって寝るというシーンがあって、みんな雑魚寝してたんですけど、ちょっと疲れてたのか、それは本当に寝てしまいましたね(笑い)。寝るシーンは好きですよ。気づいたら終わってるので。
──NGにはなりませんでしたか?
辰巳:寝てるシーンだもん。リアルな最高の演技をしたと言ってほしい(笑い)。