D「スカイマークの持つ『羽田発着枠』が2強にとって持つ意味は本当に大きい。1つの発着枠で年間20億~30億円の利益が出るとされていて、JALは183.5便、ANAは171.5便と拮抗していた。スカイマークはその発着枠を36便も持っていたので、ANA傘下になることで2強の支配下にある枠数は逆転した」
B「しかもスカイマークは、『羽田―福岡』『羽田―札幌』という日本で最も“太い”路線を持っていた。
ANAは当初、新生スカイマークに自社から社長を送り込むつもりだったが、さすがに国交省から“やり過ぎ”と待ったをかけられた。それでもANAと関係の深い政策投資銀行の常務だった市江正彦氏がスカイマーク社長になったのだから十分でしょう。実質的に羽田の“制空権”はANAのものになった」
C「ANAにとっては“してやったり”だろう。彼らは内心、5215億円もの債権放棄や累計4000億円もの法人税減免などの公的援助で再建したJALのことを“ドーピング企業”だと思っているからね。
今回、デルタ航空が突然スカイマーク救済に名乗りを上げたとき、ANAは“デルタをけしかけたのはJALなんじゃないか”と疑心暗鬼だったようです」
B「一方のJAL側からは“ANAにならなければどこでもいい”とアライアンス(航空連合)が異なるデルタを“応援”する声が聞こえたくらいだから、それほどスカイマークをライバルに渡したくなかったんだろうね」
※週刊ポスト2015年10月30日号