国内

演説が上手な総理 アーウー総理の大平正芳氏こそベスト1

 日本の総理大臣の演説力はどの程度のものなのだろうか。現在の安倍晋三氏に至るまで戦後の総理大臣33人が国会で行った所信表明・施政方針演説を集めた『1945~2015 総理の演説 所信表明・施政方針演説の中の戦後史』(バジリコ株式会社)の監修・解説を担当したベテラン政治ジャーナリストの田勢康弘氏が日本の政治家の演説について語った。

 * * *
 佐藤栄作から安倍晋三まで延べ25人の総理大臣を取材してきましたが、そのなかで比較的上手いと言えるのは佐藤栄作、三木武夫、中曽根康弘、小泉純一郎。議場でよく声が通っていたし、抑揚や間の取り方が上手でした。僕が評価するベスト1は大平正芳です。言葉の前に「アー」とか「ウー」とか言うので「アーウー総理」と揶揄されましたが、言葉そのものに力がありました。歴代総理のなかでもっとも言葉にこだわっていたと思います。

 街頭演説での面白さに比べ、国会演説はさほど上手くなかったのが田中角栄。ダミ声で、何を言っているのか聞き取りにくいのが欠点です。
 
 どの総理の演説も土台の部分は官僚の作文ですが、それでも総理の個性は反映されます。例えば、「~しようではありませんか」という呼び掛けのフレーズを使い始めたのは小泉純一郎。国民を意識した劇場型政治らしいと言えます。
 
 呼び掛けのフレーズは鳩山由紀夫も多用し、安倍晋三も使いますね。菅直人は、短くですが、自分の生まれ育った環境や、政治家になった経緯を話しています。国会演説としては珍しいです。

●文/鈴木洋史(ノンフィクションライター)

※SAPIO2015年11月号

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン