ビジネス

新聞の「薬買取」「薬即現金」広告 実際に電話をかけてみた

 昔から変わることなく新聞に掲載され続けているのが、〈薬買取〉〈薬即現金〉と謳う三行広告だ。処方箋薬を個人売買するのは違法行為(薬事法違反)だが、その広告が堂々と紙面に出ているのだろうか。真相を確かめるべく、本誌記者は広告に掲載された番号に電話をかけてみた。

──どんな薬なら高額で買い取ってもらえますか?

「何の薬ですか?」

 腰痛持ちの50代記者が持っていたボルタレン(鎮痛剤)と、デパス(精神安定剤)の名を挙げ、一錠いくらかを質問する。

「ボルタレンは100錠で400円、デパスは100錠で250~350円です」

 拍子抜けするほどの低価格だ。記者が「ほかに高額な薬はないか」と聞くと、業者はこちらの身元を怪しんだのか、こう確認してきた。

「業者の方ですか? 一般の方ですか? 販売免許は持っていますか?」

 さらに相手はこう続ける。

「どの薬が値段が高いか、この電話では答えられません。業者の方か、免許を持っている方にしか教えられません」

 記者が「買い取る時はどうするのか」と食い下がると、「店舗に直接きていただいて本物であれば現金で買い取ります。来店の際には住所をお教えします」といわれて、電話を切られてしまった。

 本当に個人売買は相手にしていないのか。広告には「業者に限る」といった文言はなく、むしろ〈秘守(秘密厳守の意)〉といった怪しげな記載がある。同じ業者に日を改めて、今度は「薬を買いたい」と電話をかけた。

──広告を見て電話しました。バイアグラが欲しいのですが、いくらで買えますか?

「1錠2000円で、2錠から販売します」

──売る場合はいくらですか?

「箱に入って未開封の状態で、有効期限が長ければ20錠入りのものが3万円です。お客様は医薬品販売許可をお持ちの方ですか?」

 こうして前回同様、やりとりは「販売免許がなければ買い取りしない」の繰り返しに。どうやらこの広告主は闇業者ではなく、病院向けに商売する薬の卸問屋だったようだが、なかには犯罪まがいの業者も紛れ込んでいる。

「どこも卸問屋という体を取るだろうが、過去にはバイアグラを違法に売りさばいて逮捕された業者もいます」(広告代理店関係者)

※週刊ポスト2015年11月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
痩せる前のエヴィヤタルさん(インスタグラムより)
「弟はもはやガイコツ」「この穴は僕が埋葬される場所だろう」…ハマスが“人質が自分の墓を掘る”動画を公開し世界各国から非難噴出《飲まず食わずで深刻な飢餓状態》
NEWSポストセブン
本州に生息するツキノワグマ。体長120~180センチほど。最近では獣害の被害が増えている(イメージ)
《襲われる被害が多発》クマに悩まされる養蜂家たちが告白 「今年はあきらめるしかない…」「槍を作って山に入るヤツもいる」
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン
昨年に第一子が誕生したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行、妻・沢井美優(右・Xより)
《渋谷で目立ちすぎ…!》オレンジ色のサングラスをかけて…ティモンディ・高岸、“家族サービス”でも全身オレンジの幸せオーラ
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《話題のド派手小学生“その後”》衝撃の「デコラ卒アル写真」と、カラフル卒業式を警戒する学校の先生と繰り広げた攻防戦【『家、ついて行ってイイですか?』で注目】
NEWSポストセブン
収監の後は、強制送還される可能性もある水原一平受刑者(写真/AFLO)
《大谷翔平のキャスティングはどうなるのか?》水原一平元通訳のスキャンダルが現地でドラマ化に向けて前進 制作陣の顔ぶれから伝わる“本気度” 
女性セブン
「池田温泉」は旅館事業者の“夜逃げ”をどう捉えるのか(左は池田温泉HPより、右は夜逃げするオーナー・A氏)
「支払われないまま夜逃げされた」突如閉鎖した岐阜・池田温泉旅館、仕入れ先の生産者が嘆きの声…従業員が告発する実情「机上に請求書の山が…」
NEWSポストセブン
バラエティ、モデル、女優と活躍の幅を広げる森香澄(写真/AFLO)
《東京駅23時のほろ酔いキャミ姿で肩を…》森香澄、“若手イケメン俳優”を前につい漏らした現在の恋愛事情
NEWSポストセブン
柳沢きみお氏の闘病経験は『大市民 がん闘病記』にも色濃く反映されている
【独占告白】人気漫画家・柳沢きみお氏が語る“がん闘病” 今なお連載3本を抱え月産160ページを描く76歳が明かした「人生で一番楽しい時間」
週刊ポスト
芸能界の“三刀流”豊田ルナ
芸能界の“三刀流”豊田ルナ グラビア撮影後に語った思い「私の人生は母に助けられている」
NEWSポストセブン
ラーメン二郎・全45店舗を3周達成した新チトセさん
「友達はもう一緒に並んでくれない…」ラーメン二郎の日本全国45店舗を“3周”した新チトセ氏、批判殺到した“食事は20分以内”張り紙に持論
NEWSポストセブン