うまく寝るためのiPhoneアプリ「快眠zzz」

◆音楽会社が「睡眠」に着目し、アプリ開発

 西寺氏の場合、「全体の世界観」の中に音楽を配置し、ヒットを狙っていくということだ。ただし、これは文章も書けて、音楽も作れて、自ら演奏もできて歌えるという西寺氏のような才能ある人物にしかできない高等な戦術といえよう。ならば、西寺氏が指摘をしているようにウェブをどう活用するかということも重要になってくる。音楽をCDという形にしたパッケージが爆発的に売れた時期があり、そこから「着うた」「着メロ」が出た後にiTunesが登場。現在はアプリと音楽サブスクリプションも音楽メーカーにとっては一つの販売手段となっている。これらはどうなのか。

 ユニバーサルミュージック合同会社開発本部制作編成部の峯川伸一氏は、今年9月末に発売されたiPhoneアプリ「快眠zzz」の開発に携わった。同社が保有するクラシック音楽のほか、音楽家・河合一正氏が開発した「眠れる音楽」、それに「波の音」や「羊が○匹…」など54曲を収録した「寝るための音楽アプリ」である。峯川氏が語る。

「今、音楽会社がアプリを開発する意図は『販路を広げて音楽との接点を増やす』ということです。進出していない分野にチャレンジする、ということ。App Storeのマーケット規模は、iTunesの10倍ぐらいと推測しています。元々App Storeのランキングに上位に睡眠のアプリがあって、睡眠への関心の高さを実感していました。これまではテーマや作品ごとにパッケージにして売っていましたが、我々の資産としての音楽をちょっと違う形で再利用して商品を作りたいと考えていて、その発想の中からアプリを開発することになったのです」

 しかしながら、儲かるレベルに行くには数が売れなくてはならない。同アプリは120円というもっとも安い価格帯で、損益分岐点超えには数万ダウンロードが必要だ。アプリのダウンロードにおいてはランキングが大きく影響するようで、「上位を占めるアプリはずっと変わらない傾向がある。まずはランキングで上位に入るところから始めなくてはいけない」(峯川氏)とのことである。さらに、同氏はこう語る。

「音楽会社しかできないアプリってあると思います。他社の睡眠アプリも試してみましたが、少なくとも音質の面では数倍良いのができると考えました。私達にしかできないものを出せれば関心を持ってもらえる人も増えると思います。我々レコード会社スタッフとプロのサウンド・エンジニアの、オーケストラ、ピアニスト……、音楽について豊富な知識を持つチームで方々に『どうなったら眠れるか』ということを「間合い」とか含め、色々考えました。一般的な睡眠アプリとは差別化はできたと思っています」

 それではアプリのほか、もう一つの新たなる潮流である音楽のサブスクリプションサービスはどうか。今年5月にエイベックスとサイバーエージェントの合弁企業・AWAが開始した「AWA」(月額360円か960円)が登場したのを皮切りに、メジャーなところではLINEが運営する「LINE MUSIC」(同500円か1000円)、アップルが運営する「Apple Music」(同980円)、グーグルが運営する「GooglePlay Music」(同980円)がスタートし、ダウンロード数を競っている。

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