こうしてみると、コンビニの“電子マネー戦争”は、二大流通グループ「セブンVSイオン」の覇権争いの様相を呈してきた。ナナコとワオン、どちらが最強の電子マネーなのか。
現在の発行枚数と利用店舗数で比べてみると、ナナコの4198万枚・18万5900店に対し、ワオンは5260万枚・22万5000か所。この数字だけ見ればワオンに軍配が上がるが、前出の河野氏は「利用頻度やオトク感はナナコのほうが上」と話す。
「全国に1万8000店を構えるセブンイレブンの規模もさることながら、セブン&アイグループの圧倒的な財務力でナナコのサービス満足度は高い。ナナコで購入すれば割引になる商品もたくさん揃えていますし、カウンターコーヒーを5杯買えば1杯無料になるなどのキャンペーンも充実しています。
一方、ワオン陣営はこれまでイオンが郊外に多かったため、首都圏での利用価値は低かったのですが、ファミマやローソンといったコンビニのほか、手広く提携企業とスクラムを組んで利便性を追求していく戦略です。
今後、決済金額の伸びによっては、これまでセブングループが中心だったナナコも提携企業を増やしていく可能性はあります。いずれにせよ、電子マネーの利用率をいかに高めていくかが、コンビニはじめ流通業界の雌雄を決する重要なポイントといえます」(河野氏)
いまや、同じ商品を買うにも「どうせならポイントが貯まる店舗で」と“カード縛り”の生活を送る人は多い。そう考えると、顧客の囲い込みを図る電子マネー市場が急拡大しているのもうなずける。