「特に私が心配したのが事故や病気になって意識がなくなって病院に搬送された時。私は実家の母と家族の問題があり、連絡を取っていないのに、今までの制度では、裕子さんが病院で何かを決断することはできませんでした。今回は、そのような現場でのトラブルが起きないように、きちんと裕子さんに決めてほしいという思いを公正証書の中に盛り込みました」(東さん)
「親子の関係が違うので、私の場合はこうしよう、小雪さんの場合はこうしようと考えることができました。こういうふうに共同生活しましょう、もし別れる時はこうしましょう、とか、そういうことを書いています」(増原さん)
今回の証明書で認められることは多い。たとえばライフネット生命保険では、同性パートナーも死亡保険金の受取人として認められる。法的拘束力はないが、病院や不動産業者に、証明書を持つふたりを夫婦と同等に扱うよう促している。
一方でまだまだ課題も多い。相続の権利は認められていない。また、もし子供が欲しくても、日本ではまだ同性カップルは特別養子縁組(※子供とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準ずる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度)ができないので、精子提供を受け、妊娠・出産しなければならない。またその際、子供を産んでいないパートナーはその子と法律上の親子関係を結ぶことはできない。しかし、ふたりは今、友人からの精子提供という形で子供を授かる日のために“妊活”を行っているという。
「1人ずつ子供が欲しいなと思っていて、年上の裕子さんから先に、と思っています。今私たちの中でいちばんホットな話題ですね」(東さん)
そして生まれてくる子供のためにも「結婚」にこだわる。
「絶対に結婚したいです。同性婚をしたいというよりは、婚姻届に性別欄がなくなったらいいと思ってるんです。すべての人が同じように婚姻を選択できるようになれば。今回の証明書は、そこまでの大きな通過点だと受け止めています」(東さん)
※女性セブン2015年11月26日号