国内

同性パートナー証明取得者「婚姻届に性別欄なくなればいい」

 ふたりは待ち合わせの場所に満面の笑みで訪れ、屈託のない笑顔は、取材中、一瞬たりとも消えることはなかった。増原裕子さん(37才)と東小雪さん(30才)は、11月5日の朝、渋谷区が発行を始めた「パートナーシップ証明書」を手に、喜びを隠せない。

「こんな日が来るなんて全く予想していなかったよね?」(増原さん)
「うん!」(東さん)

 ふたりが出会ってから4年。確かにここまでの道のりは険しいものだった──。渋谷区が同性のカップルを対象に「結婚に相当する関係」と認める証明書の発行を始めたのは、今年3月にその発行を認める条例が成立したのを受けてのことだ。

 昨今、セクシャル・マイノリティの総称であるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)という言葉をよく耳にするようになった。2015年に電通ダイバーシティ・ラボが全国7万人の20~50代の男女を対象にインターネットで行ったアンケート調査では、13人に1人の日本人が、自身がLGBTであると告白している。

 2011年春、LGBTのトークイベントで出会った増原さんと東さん。東さんの一目惚れがきっかけとなり、どんなパートナー関係を結ぶかを真剣に話し合い、交際をスタートさせた。私の運命の人はこの人だし、結婚したい──そんな思いでふたりは、これまでもいくつかの“証”を手にしてきた。

 たとえば2年前、東京ディズニーシーで結婚式を挙げたこともそうだ。

「そのときは、園内だけで有効な結婚証明書に、ミッキーとミニーがサインをしてくれました」(東さん)

 その後、ハワイでは旅行者でも“マリッジライセンス”が取得できると知って、ふたりで飛んだ。

「ハワイでは同性婚が認められているので、そのライセンスはオフィシャルなものです。日本では有効ではないですけれど、証明書を手にしたとき、とても重みを感じました」(増原さん)

 東京ディズニーシーでの結婚式、ハワイでのマリッジライセンス──少しずつふたりの関係が認められる場所を増やし、書類の数を増やしてきた。そして今回の条例成立のニュースを聞き、申請に必要な公正証書も作成した。

 作成には、平日にふたり揃って公証役場へ行く必要があったり、1万5000円以上のお金がかかったりと、婚姻届を1枚提出するのとは比べものにならない手間とお金がかかる。 それでも、ふたりにとってそれはハードルには感じられなかった。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト