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遺影や棺や祭壇で見栄張る葬儀は「不幸をもたらす」と葬儀通

 突然の身内の不幸に際し、納得のいかない葬儀を強いられる遺族が増えている。広告につられて契約したものの結果的に数倍の支払いが必要になった例などが相次いでいる。

 葬儀は僧侶に来てもらい、2日間かけて通夜と告別式を行なうイメージが強い。葬儀社も商売だから遺族には「皆さんこのようにされています」と色々勧めてくるが、NPO法人「葬儀費用研究会」の冨永達也事務局長はこう語る。

「葬儀で不幸をもたらすのは見栄を張ること。直葬の価格を基準にし、これに家族葬として式場や祭壇など、最低限のものを付け加えていくと安く上げられる。顔見知りが集まる家族葬なら、故人のスナップ写真があれば高額な遺影も不要です」

 中でも注意したいのは棺と祭壇。一般人が用意しにくいものは業者にとっては価格を高く設定できる商品となる。

 棺は原価1万円のものが5万円の価格で売られるなど、特に利益が大きい商品だという。「故人が喜ぶ」と何十万円もする棺を発注する遺族がいるが、「いずれ燃やしてしまうもので、それこそ見栄の象徴」(冨永氏)。また、「祭壇」は価格が不明朗。他社と比較しにくくするために祭壇や骨壺を基本セットの料金に組み込んでいることが多いという。白木の祭壇の大きさや生花のボリュームなどによって料金は10万円単位で変わってくるが、

「業者が棺や祭壇のグレードアップで料金を吊り上げてくるようなら、“故人の遺志です”と断わることが大切です」(冨永氏)

 悪質なものとして、寝台車を利用する際に、本来セットで含まれているはずの運転手と助手の人件費を別に設定し、伝票上ではそれを「サービスで無料にします」と安さをアピールしながら結局は通常料金を取っていたパターンや、手伝いの女性の料金を時給換算したら5000円も払っていた、というケースもある。葬儀業者は顧客を紹介してもらうために病院や寺院に多大な営業経費をかけており、その負担が葬儀費用に上乗せされているのだ。

 前出の冨永氏が語る。

「故人の遺志が生かされ、かつ合理的な葬儀を行なうためには、普段から家族と葬儀について具体的に話し合い、どのような葬儀を行ないたいかのイメージを持っておくことが大切。エンディングノートを綴ることをお勧めします」

 先立っても、先立たれても、「備えあれば憂いなし」なのだ。

※週刊ポスト2015年11月20日号

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