ビジネス

ホンダは最速シビックRで復活の狼煙を上げることができるか

750台の限定発売に申し込みが殺到した「シビック タイプR」

『シビック』といえば、遡ること1972年に初代が発売されて以降、長らく世界中で愛されてきたホンダを象徴するクルマだ。

 日本では2012年を最後に販売が打ち切られていたが、3年ぶりに新型モデルが限定発売されるとあって、復活を待ち望んでいた熱狂的なホンダファンから大きな期待が寄せられている。

「われわれの世代にとって、かつてのシビックはトヨタの『カローラレビン』や日産の『シルビア』を凌ぐ小型クラスの人気車種でした。また、アイルトン・セナやアラン・プロストといったレーサーが活躍していたF1人気も重なり、多くの若者がシビックに代表されるホンダ車の軽快な“走り”に魅せられてきました」(40代男性会社員)

 来年1月より納車が始まる「シビック タイプR」。このタイプRというグレード名は、ホンダがモータースポーツで培った技術を市販車に転用し、最高の走行性能を持つスポーツモデルにしか付けない、いわば“称号”だ。

「新型シビックは最高出力310馬力、最大トルク400ニュートンメートルというパワーを実現させたうえ、世界一過酷なサーキットと呼ばれるドイツのニュルブルクリンクのタイムアタックで、これまでFF(前輪駆動)車の世界最速記録を持っていたルノーの『メガーヌRS』を4秒上回った」(モータージャーナリスト)

 限定販売台数が750台なのは、ここで出したタイムが「7(分)50(秒)」だったことに肖って決めたと言われているが、申し込みが1万件以上と殺到したために、ホンダは嬉しい悲鳴を上げている。

 しかし、往年の人気ブランド復活にしては少なすぎる販売台数なのはなぜか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がいう。

「ホンダのイギリス法人が生産したクルマを逆輸入する方式を採用したため、初回であまり台数を増やして在庫になってしまったら利益も見込めません。とりあえずは反響を確かめたかったのでしょう。価格も税込みで428万円と高めですしね。

 ただ、少ない販売台数でも宣伝効果は絶大だと思います。最近のホンダは国内市場の販売低迷から、『昔のホンダらしさ』を取り戻すイメージ戦略に必死。『ビート』の後継にあたる『S660』(今年発売)や『NSX』(来春以降の発売予定)など、スポーツモデルを次々と進化させ、走り好きな若者たちの心を掴もうとしています。

 ユーザーをわくわくさせるクルマづくりの原点に立ち返る――というホンダの“宣言”だとするならば、新型シビックは反撃の狼煙を上げるひとつのモニュメントになると思います」(井元氏)

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト