国内

流行語「安心して下さい」は意外に長生きする予感ありと識者

漫然とした不安感に覆われる時代にマッチ?

 今年も「流行語大賞」が発表された。だが、発表されて初めて知った言葉もあるだろう。「流行語」の適切な距離の取り方について、大人力コラムニストの石原壮一郎氏が語る。

 * * *
 結果が発表されて、いろんな人がそれにケチをつける光景が繰り広げられると、「ああ、今年も年末だなあ」と感じさせられます。12月1日、2015年に話題になった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。

 年間大賞に輝いたのは、日本を訪れた中国人が大量に買い物をする「爆買い」と、今シーズンのプロ野球で2選手が達成した「トリプルスリー」のふたつ。そのほか「トップテン」として、「アベ政治を許さない」「安心して下さい、穿いてますよ。」「一億総活躍社会」「エンブレム」「五郎丸(ポーズ)」「SEALDs」「ドローン」「まいにち、修造!」が選ばれました。

 そもそも「流行語」というのは基準が曖昧なだけに、何を選んでも、誰かが「えっ、そんな言葉知らないよ」とか「そんなに流行ってたっけ?」と言われるのが宿命です。今年も、とくに「トリプルスリー」に対して、「なぜそれが大賞?」「聞いたことがない」という声がSNS上などで飛びかいました。

 しょせんは一企業が主催している「お遊び企画」ですから、目くじら立てて文句を言うのも世知辛くてマヌケな話です。しかし、何かに文句をつけると「自分が賢そうに見える」と思い込んでいる人は少なくありません。また、何がそんなに誇らしいのか、隙あらば「そういうことには疎い俺様」をアピールしたがる人もよく見かけます。

 今回の「トリプルスリー」もですが、7月にピースの又吉直樹が『火花』で芥川賞を受賞したときも、「そんな芸人知らない」とドヤ顔で言っている人がちらほらいました。たとえ自分に興味がない分野でも、本来「知らない」というのは威張れることではないはずですが、きっと自分を都合よく美化できる独特の能力があるに違いありません。

 そんなこんなを踏まえて、大人として「流行語大賞」と、どう付き合えばいいのかを考えてみましょう。前述のとおり「なんでこんな言葉が選ばれたんだ」とか「そんな言葉知らないよ」と得意気に言うのは、自分のひそかな願望とは裏腹に、むしろ頭が悪そうに見えたり周囲をウンザリさせたりする効果しかありません。

 かといって、いかにも「流行語を使いこなせる自分」に酔いながら、女性社員がバーゲンで買い物をした話をしているときに、「今はやりの爆買いってヤツだね」なんて言ってしまうのは、それはそれで恥ずかしい使い方。大人としては、いかに適度に距離を保ちながら、余裕を持って年末の風物詩を楽しんでいる気配を出せるかが勝負です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン