「大阪の自民党は伝統的に選挙に強くない。そのうえ大阪府連はダブル選挙で共産党と組んだことから保守層の離反を招いた。橋下―松井府知事コンビとパイプが太い安倍晋三・首相や菅義偉・官房長官の頭には、ドイツの姉妹政党制のように、選挙後に統一会派を組むことを前提に大阪は地域政党のおおさか維新にまかせ、自民党は候補者を立てない考え方もある。
そうすれば衆院選は大阪の19小選挙区のうち、公明党の4議席を除く15選挙区をおおさか維新が独占する可能性が高い。大阪の小選挙区と近畿ブロックの比例代表だけで25議席前後の議席を得る可能性がある。自民党候補は橋下に頭を下げておおさか維新に入るか、無所属で戦うかの選択を迫られる」
実際、橋下ショックは大阪だけにはとどまらず、おおさか維新の圧勝を見て奈良の維新の党の県議や市議が新たに「なら維新の会」を設立し、おおさか維新の傘下に入るなど、その影響力は近畿ブロック全体に広がりつつある。
近畿ブロックを地盤とする「おおさか維新」が安倍自民党と政党連合を組み、事実上、自民党系の地域政党になることはありえない話ではない。
日本維新の党の江田憲司・前代表は、松井知事が「自民党と手を組んで政策を実現していく。われわれはもう政権交代を目指さない」と語ったことが維新分裂のきっかけになったと暴露しており、安倍自民とおおさか維新は憲法改正など基本政策が一致している。
安倍首相にしても、同日選で自民党単独で憲法改正に必要な衆参の3分の2を獲得するのは容易ではないため、近畿・大阪で強力な地盤を持つおおさか維新と棲み分けた方が改憲議席の獲得には近道だろう。まさに同日選後を睨んだ「改憲政党連合」構想なのである。
※週刊ポスト2015年12月18日号